「iPhoneの力」をMacにも使うアップルの深謀 新macOS「モハベ」、利用してみてわかったこと

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このやり方がうまく機能するようになれば、あるいはうまく機能させるためのノウハウが充分に検討・周知されれば、iOS開発者はiOSアプリとmacOSアプリケーションを同じコードから生成できるようになる。開発者にとっては収益の機会が拡大する一方、アップルはmacOS向けアプリを大幅に増やせる絶好のチャンスとなる。

ただし、繰り返すが、一般の開発者が利用できるのは来年だ。

Mojaveに追加される新アプリがカギ

アップルがMac事業を伸ばすための試金石としているのは、Mojaveに追加されている新アプリ。いずれもiOS版(iPad版)をmacOS向けに再生成したものであるとされている。それらの開発を通じて問題を洗い出し、来年以降につなげようとしている。

Mojaveに搭載される新アプリはStock(株価)、News、Voice Memo、Homeの4つだ。

このうち、Newsは日本向けとなるサービスが提供されていないため、macOSでも利用できないなどの歩留まりはあるものの、少なくともアップルが提供するアプリに関しては、ウィンドウサイズの変更などもスムースで表示の破綻も見られなかった。

“まだ来年の話”ではあるが、iOSにおけるモメンタムをパーソナルコンピュータ市場で生かそうという明確な意図が感じられる。それはここ数年で積み重ねてきた「連携」機能にも見られる。

「連携」機能は、たとえばApple Watchを身に着けていると、Macのロック解除が自動で行われたり、モバイルホットスポットをMac側から解除できたり、やりかけの作業継続をどのデバイスからでも再開できるといった部分で見られたが、MojaveとiOSの新バージョン(iOS 12)の組み合わせでは、MacからiOSデバイスのカメラを呼び出して画像を挿入するといったシームレスな使い勝手にまで広げている。

複数メンバーでビデオチャットを実現するGroup FaceTimeといった機能もiOSデバイスでの強みを生かしたものと言えるだろう。

アップルは写真や動画など、コンテンツの閲覧、制作にフォーカスしたDark modeという配色や、デスクトップの細かな使用感改善をMojaveの最大の特徴として訴求している。実際、デスクトップに置く書類の自動分類などMojaveの新機能は着実にMacの使い勝手を高めており、クイックビュー(ファイルの閲覧機能)から簡易編集への連係など極めて洗練度の高い機能強化は好ましいものだ。

iOSで成功しているApp Storeの改善も、Mac App Storeの改良に反映されており、将来、iOS向けアプリがMacでも利用可能となったときに備えているのだろうと想像できる。

しかし、マイクロソフトもWindows 10を繰り返しアップデートし、使いやすさと機能を同時に強化しており、“パーソナルコンピュータ”としての使い勝手で大きな差は付けにくい状況にある。だからこそiOSとの連携を深めようという戦略なのだろう。

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