「iPhoneの力」をMacにも使うアップルの深謀 新macOS「モハベ」、利用してみてわかったこと
グローバルでのパーソナルコンピュータ市場は、個人向け市場の冷え込みから伸び悩み、多くのメーカーが企業向けにフォーカスしている展開だが、アップルはiPhone/iPadにおける強い立ち位置を活用し、個人向け市場での事業拡大を狙っている。その象徴が、6月4~8日に開催されたWWDC 2018で発表したmacOS「Mojave(モハベ)」だ。
Mojaveのパブリックβ、すなわち一般ユーザーも利用可能なプレビュー版が6月27日、公開された。機能の概要はアップルの紹介ページから読み取ることができるが、同社のmac事業への影響について話を進めたい。
アップルが狙う「Mac事業の強化」
アップルにとって、もっとも大きな事業になっているジャンルがスマートフォン(iPhone)であることは明らかだ。伸び盛りのサービス事業やウェアラブルデバイス(Apple Watch)といった新領域の開拓にも余念はないが、それでもiPhone事業に匹敵する事業に成長するかどうかは不透明である。
しかしながら、アップルが得意とする商品ジャンルでの強みを、他カテゴリーにも生かすという意味において、できることはまだまだたくさんある。そのうちの1つは、アップルという企業の源流でもあるパーソナルコンピュータ事業、すなわちMac事業の強化だ。
Macが他のパーソナルコンピュータと比べてユニークな点は、基本ソフト(OS)を含めて製品のすべての価値をアップルがコントロールしていることだ。たとえば、MacBookやMacBook ProのコンセプトをなぞるノートPCは世の中に多数存在するが、macOSを含めたトータルの価値は、他社は訴求できない。
これはAndroidスマートフォンに対するiPhoneの強みにも言い換えることができる部分だが、iPhoneに採用されているiOSとの関係性を強めることで、アップルは成熟したパーソナルコンピュータ市場に楔を打ち込もうとしている。
Mojaveでもっとも注目されるのは、来年、一般の開発者にも公開されるというiPad版アプリをmacOSでも動作可能にする仕組みだ。アップルは自身が提供するアプリでのみ、この機能を利用可能としている。具体的にはiOSアプリのユーザーインターフェース機能を司るUIKitと呼ばれる機能を、macOSでも動作するようしたうえで、開発ツールからmacOS向けにアプリの実行コードを生成可能にすることで実現している。
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