SUV人気のマツダが新型アテンザに託す使命 旗艦セダン、国内月販目標は「控えめな」500台

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
新型アテンザのディーゼルタイプの最上グレード、Lパッケージの内装。旧型車に比べて質感を大幅に高めた(撮影:尾形文繁)

結果、ディーゼル車の最上グレードのLパッケージは、旧型車種と比べて価格が18万9000円上がっている。改良時には価格を極力据え置く傾向にあるマツダにしては、大幅な価格改定といえる。しかし、都内の販売員は「内装は良くなっている。価格差を気にするお客様はあまりいない」と話す。安全運転支援機能や燃費性能の向上も含め、価格を妥当とする顧客の見方が強いようだ。

予約注文のうち、60%がLパッケージ(ガソリンとディーゼル)となっていることも、マツダのブランドを評価し、フラグシップ車を持つことに価値を感じる客層が確実にいることの表れだろう。ちなみに、カムリの新型車は新プラットフォーム「TNGA」を採用しており、旧型車に比べ最大17万円価格を引き上げている。

アテンザの米国における販売価格は、2万3000〜3万4750ドル。米国で最も売れているセダンであるカムリとホンダの「アコード」はそれぞれ2万3645〜3万5100ドル、2万3570〜3万5800ドルであるから、日系のセダンとほぼ横並びの設定だ。ブランド価値の向上に主眼を置くマツダだが、急な価格の引き上げには慎重なのはなぜか。

ブランド力向上は依然道半ば

「まだそこまでブランドが浸透していない。今価格を上げても、新規の客は取れないどころか、既存の客を失うおそれもある」と、複数の役員は口をそろえる。マツダは「SKYACTIV第2世代」と呼ばれる次世代商品の投入を2019年度から始める。これに合わせて日本と米国では販売店の改装やブランド研修を進め、ブランドイメージの浸透を少しずつ図っていく考えだ。価格を上げるのはそこからということだろう。

東洋経済オンライン「自動車最前線」は、自動車にまつわるホットなニュースをタイムリーに配信! 記事一覧はこちら

6月26日の株主総会で、小飼社長は6年の任期を終えて会長に退く。副社長から昇格する丸本明・新社長は、米州事業を担当してきた。米国販売網の構築を成功させ、ブランド価値経営の強化をグローバルで進めていくことができるかが、今後の成長のカギとなる。

小飼社長は「セダンの市場環境は厳しいが、いつまでもSUV人気が続くとは限らない。セダンも必ず上がってくる」と期待を見せる。フラグシップのアテンザには、ブランドの顔を担うに十分な存在感を示すことができるかが問われている。

森川 郁子 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

もりかわ いくこ / Ikuko Morikawa

自動車・部品メーカー担当。慶応義塾大学法学部在学中、メキシコ国立自治大学に留学。2017年、東洋経済新報社入社。趣味はドライブと都内の芝生探し、休日は鈍行列車の旅に出ている。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事