SUV人気のマツダが新型アテンザに託す使命 旗艦セダン、国内月販目標は「控えめな」500台
CX系を強化しているマツダにとってセダンの位置づけは難しくなっている。生産・販売台数に占めるCX系の比率は2015年度には34%だったが、2018年度には50%を計画する。基幹車種「CX-5」は、2017年度に世界で44万5000台を販売し、車種別で初の首位に躍り出た。マツダ車では「アクセラ」の首位が長らく不動だったが、CX-5が3000台上回った。
「マツダはSUVに振っているように見えるかもしれないが、マツダにとってセダンは走りを表現するうえで非常に重要。その走行性能を、SUVに展開していく」。小飼雅道社長はセダンの走りへの思い入れを語る。実際、構造的に車高が低いセダンは、走りが安定するとされている。
新型エンジン搭載ではCX系の後塵を拝する
とはいえ、今回の新型アテンザが搭載するエンジンはアテンザが初採用ではない。ディーゼルエンジンには、昨年12月に「CX-8」に搭載された「SKYACTIV-D 2.2」を採用。2.5リッターのガソリンエンジンには気筒休止機能で実燃費性能が向上した「SKYACTIV-G 2.5」を採用しているが、その初採用は今年3月に大幅改良を行ったCX-5だ。
商品改良ではその時点での最新技術を導入するというのがマツダの基本的な考えだ。とはいえ、新型エンジンの搭載で旗艦車種のアテンザよりもCX系が先行したことには、消費者のSUVに対する強いニーズに早急に対応したいメーカー側の思いも透けて見える。
自動車業界には、フラグシップセダンはブランドの顔を担う高級車種としてブランドの品格を表現する、という考え方がある。アテンザのマーケティングを担当する空閑俊夫氏によると、セダンでも高級車のイメージが強い輸入車は需要の落ちにくい傾向があるという。マツダが新型アテンザで狙うのは、この領域だ。
マツダは欧州メーカーの背中を追っている。デザインを統括する前田育男常務も「マツダとしてというよりも、日本全体のデザインを担う車を作りたい」と、高い志を掲げる。今回のアテンザも、インパネ周りに日本らしさを意識した繊細なディテールを施しながら、内装の質を上げた。外装はCX-5に近づき、ランプ周りや骨格が強調され、「顔」にインパクトを持たせることで、フラグシップらしい仕上がりになった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら