米アマゾン第3四半期、赤字幅縮小 売上高は予想を上回る171億ドル

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10月24日、米ネット小売り大手アマゾン・ドットコムが発表した第3・四半期決算は、赤字額が前年同期から縮小し、売上高が予想を上回った。写真は昨年11月、ウィーンで撮影(2013年 ロイター/Leonhard Foeger)

[24日 ロイター] - 米ネット小売り大手アマゾン・ドットコムが24日発表した第3・四半期決算は、赤字額が前年同期から縮小し、売上高が予想を上回った。決算を好感し、同社株価は取引終了後の時間外取引で急伸した。

純損益は4100万ドル(希薄化後1株当たり0.09ドル)の損失となり、2億7400万ドル(同0.60ドル)の損失だった前年同期から赤字幅が縮小した。

売上高は171億ドル。前年同期の138億ドルから増加し、アナリスト予想平均の168億ドルを上回った。

売上高は、年末商戦を前に同社に勢いがあることを示している。

同社は年末商戦の売上高について、235億―265億ドルになるとの見通しを示しているが、アナリストの間では慎重な予想との見方が出ている。

モーニングスターのアナリスト、R.J. Jottovy氏は「第4・四半期はマクロ経済的にはやや厳しくなる見込みだが、売上高の勢いは続くだろう」と述べた。

同社の株価は前日比1.7%高の332.21ドルで引けた後、取引時間終了後に発表した決算を好感し、時間外取引で約8%上昇した。

第3・四半期の売り上げは国内がけん引し、国内の純売上高は31%増の103億ドルとなった。同社は、物流・発送ネットワークの拡大で配達がより早くなったことが顧客を掴んだとみている。海外での売り上げも15%増加し、第2・四半期の13%から伸びが加速した。

アマゾンは、ネット小売りから、タブレット端末などの消費者向けデバイス(端末)や企業・政府向けにクラウドサービスを提供するハイテク企業への転換を図っている。このために巨額の資金を投じ、利益を圧迫しているが、投資家はこの方針に対して、利益率の改善などを通じてやがて実を結ぶとの見方をしている。

アマゾン幹部は、海外の物流網への投資を継続し、自社の動画配信サービス「インスタント・ビデオ」用コンテンツの取得と開発への投資も続ける方針を示した。

幹部によると、年会費79ドルで注文後2日以内の配達が保証され、動画配信サービスが無料となる「プライム会員」は過去90日で数百万人増加。トム・スクータック最高財務責任者(CFO)はアナリスト向け電話会議で、無料の動画配信がプライム会員数の増加に寄与していると指摘した。

アマゾンの第2・四半期の粗利益率は28.6%と、アナリストの計算では過去10年超で最高水準となった。第3・四半期は約27.6%と、アナリスト予想通り、前四半期から低下した。年末商戦に向けた投資拡大が要因とみられる。

スクータックCFOは「われわれは適切な従業員数と処理能力の確保を通じ、年末商戦に備えつつある」と語った。

*内容を追加して再送します。

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