日本車は中国製のEVを恐れる必要があるか

BMWの技術者が立ち上げたバイトンの実力

一方、十城千両とは無縁で、しかも現業を持たないゼロ出発のバイトンのような新生EVベンチャー企業は、既存の自動車メーカーでは製品化が難しいと思われてきた技術の量産化を早めることで、投資家の関心を集める戦略を打つ。

その中で、バイトンが選んだマーケティング戦略が、徹底した「クルマのスマホ化」と「レベル4自動運転」だ。

レベル4自動運転のK-Byte Conceptを2020年に量産

クルマがスマホ化する、と言われるようになってから久しい。

2014年、アップルとグーグルが車載器とスマホの連携で、カープレイとアンドロイドオートという独自規格を市場に導入したことがきっかけとなり、コネクテッドカーという技術領域に注目が集まった。さらに、最近では自動運転への関心が高まっている。

(シルバーの車両)ライダーを車体のルーフと側面に装着する、バイトン「ケーバイト」(筆者撮影)

バイトンは今回のCESアジアで、レベル4自動運転の量産車「K-Byte Concept (ケーバイト)」を世界初公開した。レベル4は完全自動運転を意味し、バスやタクシーなど公共交通向けとしての開発は進んでいるが、乗用車向けとして大手自動車メーカー各社は2025年以降に量産の可能性を示唆するにとどめている状況だ。

「ケーバイト」は、レーザーレーダー(通称ライダー)を車体ルーフの前後にひとつ、また車体の左右側面にひとつ、合計4つを装着する。量産を目指すコンセプトモデルでライダーを装備するケースはこれまでに事例がない。

「エムバイト」と「ケーバイト」はEVプラットフォームを共通化しているため、EVとしての「ケーバイト」の2020年量産は現実味がある。自動運転については、元グーグル技術者らが立ち上げたシリコンバレーのベンチャー企業・AURORA、中国IT大手の百度(バイドゥ)、さらに製造者としたドイツのボッシュも参画することで、こちらも現実味があるように聞こえる。

運転席には旧来型のスイッチ類はまったくなく、ハンドルにあるタッチパネル、音声入力、またジェスチャーを主体に操作する(筆者撮影)

バイトンは2020年末までに、中国全土で20~30カ所の直営店を開業する予定だ。こうした販売手法は、ライバルのテスラを強く意識したものであることは間違いない。事実、今回のCESのキーノートスピーチ、また個別カンファレンスのセッションで、バイトン関係者は何度も「テスラ」を名指しして、自社の優位性を強調した。

ただし、テスラは足元で「モデル3」の量産化に苦慮し、人員削減を表明するなど先行きは不透明だ。技術はあっても量産となると一朝一夕にはいかないのが自動車メーカーの難しさでもある。バイトンはテスラとは違って、すんなりと量産化に成功できるのか。その思惑通りにコトが進むかどうかで、中国の自動車市場における勢力図は変わってくるかもしれない。

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