日本車は中国製のEVを恐れる必要があるか BMWの技術者が立ち上げたバイトンの実力
近年、中国はEVバブルの様相で、EVベンチャーに対する投資や投機の動きが活発なのだが、商品としても、また財務面でも“張りぼて企業”が目立つ。
果たして、バイトンは“本物”なのか?
十城千両の呪縛から抜け出せない日系メーカー
創業からたった2年間という短期間でバイトンが急成長した背景には、中国政府が2019年から施行するNEV(新エネルギー車)の販売強化政策によるEV市場の底上げがある。
一般的にNEV法と呼ばれる同施策の基盤は、中国の国立自動車研究所に相当する中国汽車技術研究中心(CATRC)と、ゼロエミッションヴィークル規制法(ZEV法)を実施しているカリフォルニア州環境局から技術研究を委託されているカリフォルニア大学デーヴィス校が共同で開発した。よって、NEV法はZEV法と同様に、EV、燃料電池車、プラグインハイブリッド車などに、環境対応の係数をつけたクレジット方式を採用している。
このクレジットで換算して、2019年は中国自動車販売台数の10%、2020年には12%をNEV対象車とすることを自動車メーカーに義務付けた。そのため、中国地場、日系と中国地場の合弁企業、そして欧米メーカーは新型EVの開発を急いでいる。さらには、EV需要を見込んで新規参入するEVベンチャーが後を絶たない。
実はこうしたEVバブルは、2010年前後にも中国で発生している。
当時、中国政府は中国全土のバスやタクシーなど公共機関を主体としたEV普及政策を「十城千両」と名付けて推進した。十城千両とは、10都市で数千台を意味するが、最終的には25都市まで拡大された。上海、北京、深センなどの大都市では当初目標に達成したが、地方都市で目標に未達成な事例が多発し、2012年に突如、十城千両は中止されてしまった。
日系メーカーは当時、十城千両をきっかけとして中国でのEVや燃料電池の普及を検討していたため、中国政府から「はしごを外された」気持ちになった。そうした苦い過去が影響して、日系メーカーは今回のNEV法に対して慎重な姿勢を崩さない。
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