JR東日本「アトレ」に客が吸い寄せられるワケ 一度入店すると回遊が始まる驚きの仕掛け
首都圏に在住している人なら、JR東日本の主要駅にある商業施設「アトレ」を知っている人は多いだろう。
アトレは東京を中心に関東で展開しているJR東日本グループの駅ビル型複合商業施設である。その成り立ちは1990年にさかのぼり、設立当初は「東京圏駅ビル開発株式会社」という社名で、1号となるアトレ四谷を開業した。
その後2009年に「株式会社アトレ」に改名し、現在では24駅に24館まで拡大、2017年度の売上高は2091億4400万円、前年比102.1%の伸び率を記録している。しかも24館中半数を超える15館で過去最高の業績を挙げているという。
その好調ぶりの謎を解くべく、アトレの担当者に話を聞いた。
「アトレがある街っていいね」と思ってもらいたい
まずアトレの好調な売り上げについて聞いたところ、アトレで運営推進部長を務める石井正幸氏がとてもうれしそうに「これを見てください! 住みたい街ランキング上位5つの駅にアトレがある街が入っているんですよ! しかも2位の恵比寿、3位の吉祥寺、4位の品川と、3つも!」と、リクルート住まいカンパニーのランキング表を見せてくれた。
アトレそのものの話ではなく、アトレのある街の話から入ったことに驚いた。目を丸くしていると、「私たちのいちばんの願いは駅を利用する皆さまに『アトレがある街っていいね』と思ってもらうことなのです。私たちは街があってのアトレ、その駅を利用している人、住む人がいてのアトレだと思っています。だから、その街の魅力アップにアトレが少しでも役立っていればうれしいなという気持ちが、経営の根本にあるんです」。
ではアトレが街から愛される存在になるために、どんな戦略を立てているのだろうか。
「あえてターゲットを絞り切らないことです」。石井氏は少し考えて、こう言い切った。
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