日本の「自動車関連税」歪んだ体系にモノ申す

実に9種類もあり、二重課税も放置されている

豊田自工会会長が「複雑・過重な自動車関連諸税」と述べた現状を、まず紹介しよう。

自動車関連諸税の体系

自動車関連諸税は、次のとおりである。

・購入時:自動車取得税
・保有時:自動車重量税、自動車税、軽自動車税
・使用時:揮発油税、軽油引取税、石油ガス税

これらに加え、購入時や使用時に、消費税が課される。

自動車取得税は、50万円以上の価格のクルマを購入した場合の課税で、税率は自家用車が3%、軽自動車および営業用自動車が2%となっている。ただし、環境適合車の普及促進のため、電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)、天然ガス自動車(NGV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、ハイブリッド車(HV)、クリーンディーゼル車、そして一部ガソリン車でも既定の排気浄化と燃費を達成していれば免税になる。その他は、排気と燃費基準の到達度合いにより軽減措置がとられている。

いわゆるエコカーを購入すれば実質取得税の負担はなくなるが、税制そのものは存在する。

自動車重量税は、道路などクルマにまつわる社会資本を充実させるため1971年に創設された。これは田中角栄による1972年の日本列島改造論と時期が重なる。田中角栄は、「人とカネとモノの流れを巨大都市から地方へ逆流させる地方分散」を推進し、道路整備もその一翼を担った。そうした目的税(道路特定財源)として発足している。そして道路に負担を掛ける重量にしたがって税率が設定される仕組みだ。乗用車の場合、500kgごとに税額が高くなり、たとえば車両重量が1500~2000kgのクルマなら1年あたり1万6400円となる。

この自動車重量税は、新車購入時に3年分まず支払い、その後の使用時も車検の際に2年分を前払いする。車検が残っている状態で廃車すれば一部戻ってくるが、中古車として売却してしまうと重量税は原則戻ってこない。

自動車税は、最も古い自動車関連の税で、創設は1940年(昭和15年)までさかのぼる。太平洋戦争(第2次世界大戦)の開戦を控え、戦費調達のため裕福な人たちから奢侈税としてぜいたく品に課税するのを目的とした。当時、クルマを所有できる人は富裕層に限られていた。

自動車税の税額は、かつての奢侈税を思わせるようにエンジン排気量で異なり、エンジン排気量が1500cc超2000cc未満の自家用車の場合で年間3万9500円だ。今日ではダウンサイジングターボエンジンが出現し、小排気量でも馬力の大きなクルマがあり、課税の仕方に矛盾が生じている。

軽自動車税は、荷車など商売のため道路を利用する人から徴収する税の名残である。軽乗用車で年間1万0800円になる。ちなみに、自動車税でエンジン排気量1000cc以下の場合は年間2万9500円なので、エンジン排気量のわずかな差で軽自動車税は半分以下の負担で済む。

自動車税については欧米でも同様の税が課せられている。

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