あのDMMが中古車事業を始めた本当の狙い アプリで始めた買い取りビジネスの精度

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では、どうして2018年6月の市場参入なのか?

6月という点では、中古車の売買が1年の中で最も盛んになる冬場を狙って、その前に初期需要における事業の改善ポイントの洗い出しをしておきたいとの考えがある。

DMM AUTOの事業部長、西小倉里香氏(写真左)と、マーケティン部長の出村光世氏(筆者撮影)

だが、さらに大きな視点で2018年の参入については、今回の意見交換の中では大きな理由は指摘しなかった。

自動車産業全体としては、自動運転、EV(電気自動車)、コネクテッドカーという3つの技術領域と、ライドシェアリングを代表例とするMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)との融合が進み、トヨタ自動車の豊田章男社長が「100年に一度の大革命」と言い切るような社会情勢にあるが、DMM AUTOとしてはそこまで大仰に構えて中古車事業に参入する、という心持ちでもないようだ。

あくまでも、デジタル産業と中古車事業とのミスマッチが、DMM AUTOにとってのビジネスチャンスであるとの見方が強い。

どう査定するのか

さて、DMM AUTOアプリを実際に使ってみた。

とはいっても、DMMが用意した体験キットでの疑似体験だ。スマホでポルシェの模型を撮影、ダッシュボードのメーターの写真を撮影、そして車検証の撮影を終えた後、ボディカラー、右ハンドルか左ハンドルか、また事故歴などのいくつか質問に答えてデータを送信すると、査定価格が表示された。通常は3分程度で査定は完了する。

査定金額は査定から1週間有効で、減額やさらなる交渉がないのが特徴だ。

さらに、プライス予測として、査定金額が1カ月後、2カ月後、そして3カ月後にどれだけ落ちるかをグラフで提示した。

このシステムのバックエンドでは、基本的に人の手をほとんど介さず、独自のアルゴリズムによるデータ解析によって市場での適正価格を割り出している。一般的に、AI(人工知能)と呼ばれる領域の技術だ。

そのアルゴリズムでは、中古車買い取り業者が強調することが多い「他社より1円でも高く買い取ります」といった、最高値を優先したシステム設計は行っていない。

DMM AUTOのコンセプトは、クルマを売りたい人にとっての“納得感のある売却体験”を実現すること。DMMの分析では、中古車市場では未だに、クルマを売りたい人とクルマを買いたい業者の間で情報の格差があるとし、そのコミュニケーションギャップを埋めるのがDMM AUTOだという考えだ。査定価格は一発で決定して、その後1週間は交渉なし、減額なしという安心感が第一だという。

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