「怪しい投資話」と「健康話」の7つの共通点 なぜ簡単に「うまく行く」と考えてしまうのか

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

これらは考えてみれば当たり前のことなのですが、この当たり前のことが往々にして無視されがちなのです。つねに手っ取り早く「健康になりたい」とか「儲けたい」という気持ちを多くの人が持っているため、その答えや方法を求めたくなるのです。実際、投資セミナーなどに行くと参加者の中には、投資判断にあたって知っておくべき世界経済の環境や金利、為替といった情報について講師が話をしているときはグーグー寝ているのに「最後に注目銘柄を紹介します」と言った途端、ガバっと起き出して熱心にメモを取るという人もよく目にします。

世の中には健康本やマネー本の類があふれていますが、それらの多くはいずれもこうして「手っ取り早く健康になりたい」「手っ取り早く儲けたい」という人が相当数いるから成り立っているのです。自分の頭で判断したり、地道な努力を続けたりするのが面倒な人にとっては、そういう答えを教えてくれる人は何よりもありがたいはずです。だからこそ次から次へと安易な投資必勝法や健康法などの本が出てくるのでしょう。

また、それほどどぎつい内容ではないにしても「これさえやっておけば大丈夫」といった類の投資本や健康本も見受けられます。しかしながらこれも前述した最初の理由のように、どんな方法が良いかは人によって異なります。誰にでも通用する普遍的な投資成功法などは存在しません。「長期投資さえしていれば大丈夫」とか「ドルコスト平均法なら儲かる」というのも、決してすべて正しいというわけではありません。ある局面においては正しい方法でも状況が変わるとそれまでのやり方が通用しなくなるということはいくらでもあります。

「自分の判断で実行する」のが重要

大事なことは、勉強して原理原則を理解するとともに、自分の頭で判断することです。そしてそれを判断するための新たな情報をつねにインプットするようにしておくことです。いくら面倒でも自分の頭で考えることが大切です。

『デキる大人になるレシピ 経済まるわかり』書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

どちらの分野でも、私がやってはいけないことだと思うのは「原理主義者」になることです。「これが一番いい」とか、「この方法しかない」と信じ込むことはどちらも極めて危険です。健康の場合は体調、おカネに関しては経済環境によって対処の仕方はまったく異なります。ところが原理主義に陥ってしまうと「とにかく信じて任せればいい」と思いがちです。その結果考えるのが面倒だから「お任せ」する人が増えれば増えるほど、業者は儲かるということになります。

ではどうすればいいのか? 私は投資も健康と同じように無理をせずに少しずつ馴らしていくことが大切だと思います。どうしてもその気にならなければ投資などする必要はありません。インフレになるからと脅かされて一気に投資信託や株式投資をするのは危険です。投資をしたいのであれば、自分で勉強しながら少額から始めて、一定金額を超えないようにすることが大切です。投資は自己責任で、どんなにうまいことを言われて始めたとしても、損をしたからといって誰も責任をとってくれるわけではありません。健康もおカネも自分で理解して納得できることの中で、自分に合ったものだけを地道に実行していく。そのことこそが、最も大切だということを忘れてはいけません。

大江 英樹 経済コラムニスト、オフィス・リベルタス代表

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

おおえ ひでき / Hideki Oe

大手証券会社で25年間にわたって個人の資産運用業務に従事。確定拠出年金ビジネスに携わってきた業界の草分け的存在。日本での導入第1号であるすかいらーくや、トヨタ自動車などの導入にあたりコンサルティングを担当。2003年から大手証券グループの確定拠出年金部長などを務める。独立後は「サラリーマンが退職後、幸せな生活を送れるよう支援する」という信念のもと、経済やおカネの知識を伝える活動を行う。CFP、日本証券アナリスト協会検定会員。主な著書に『自分で年金をつくる最高の方法』(日本地域社会研究所)、『知らないと損する 経済とおかねの超基本1年生』(東洋経済新報社)などがある。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事