ワークマンがついにカジュアル店を出すワケ バイク乗りや妊婦に「機能性ウエア」が人気
現在、ワークマンのPB商品は830アイテムを数えており、2018年3月期決算においてPB売上高は前年比33.4%増の255億円、PB比率は32.2%にのぼる。ここにはカジュアルウエアも含まれているが、そもそもは建設作業員向けに用意された商品群だ。
建設関係者は春夏秋冬、24時間、暑い日も寒い日も雨の日も屋外での作業を強いられる。その過酷な条件下でいかに快適に働き続けられるかが、作業着に求められる機能である。機能性が低いと低体温症や熱中症を発症するなど、命にかかわる危険性も生まれるからだ。
ワークマンのPB商品は、こうした現場のユーザーの要望に応えるべく防水性や防寒性、遮熱性、吸汗・速乾性、透湿性、ストレッチ性などの機能性を高めていき、価格の安さもあって売り上げが拡大している。
価格はスポーツメーカーの「3分の1」
高機能ウエアはスポーツメーカーやアウトドアメーカーから多数販売されているが、アンダーシャツでも数千円もするなど高価だ。ではなぜワークマンは低価格で提供できるのか。「1アイテムあたり10万着以上を作るから価格を抑えられるのです。建設関係者は真夏だったら1日に3回着替え、過酷な環境で働く現場では2~3カ月で衣服がダメになることもある。
一度に複数枚を買い、年に何回も買いに来るため価格が安いほうがよいのです。また、法人の制服に採用された場合は一度に大量の注文が入り、毎年定期的に受注が入る。このため、1アイテム10万着から生産が可能となり、価格を抑えられるのです。これにより、スポーツ専用メーカーの1/3、アウトドアメーカーの1/2以下の価格で販売することができます」とワークマンの土屋哲雄常務取締役は説明する。
ワークマンのカジュアルブランドはこうした建設作業員向け衣料の延長線上にある。もともと建設作業員向けに作っていたPB商品のカラーバリエーションを作ったり、ワンポイントカラーを入れたりするだけでよいのだ。「そもそも、建設作業員向けの作業着自体も年々派手になっているので、そのままでもカジュアルウエアとして利用できる商品もあります」(土屋氏)。
一昔前は、建設作業員の作業着はグレーや紺色、ベージュなど地味な単色のみだった。建設現場の服務規程で決められており、違反する作業着を着ていると現場にも入れないほど厳しかったという。それが現在では大きく変わっている。「採用難が理由です。建設現場は恒常的に人手不足で、若い人を募集するためには、スタイリッシュなウエアが着られて魅力的な職場だということをアピールする必要があるのです」(土屋氏)。以前は赤色は「血をイメージする」ためタブーとされていたが、現在ではワンポイントはおろか赤色を大胆に使ったウエアも多数存在するほど。
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