安倍首相を襲う新潟知事選「恐怖のシナリオ」 「がっぷり四つ」の戦いは会期末攻防にも影響

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さらに、花角氏は副知事就任前の2011年夏から2013年春まで国土交通省の大阪航空局長や官房審議官を務めた経歴があるが、大阪航空局は森友問題での国有地売却交渉に絡んでいただけに「森友問題の関係者」との噂も流布された。慌てた花角氏が自らのツイッターで「森友問題の際の責任者だった等の事実無根の話がネット上飛びっていますが(原文ママ)、事実と全く異なります」などと否定したが、地元選対では「選挙へのマイナスは避けられない」と不安を隠さない。

加えて、国会での働き方改革法案をめぐる与野党攻防なども選挙戦に影を落としている。政府与党首脳がここにきて「地方選と国政は別」(有力閣僚)と予防線を張り始めたのも、「ここで負ければ、5野党が勢いづき、会期末攻防は大混乱となりかねない」(公明幹部)との危機感からだ。

首相は米大統領への拉致問題直訴でアピール

そうした中、首相は6日夕刻、訪米のため政府専用機で羽田を飛び立った。7日午後(日本時間8日未明)ワシントンのホワイトハウスでドナルド・トランプ大統領と会談し、続いてカナダ入りして同国で開催される先進国首脳会議(G7サミット)に出席、知事選後の11日に帰国する予定だ。

首相の帰国翌日の12日には、世界が注目するシンガポールでの米朝首脳会談の開催が予定され、首相にとっても今週後半からの1週間は文字通りの「外交ウィーク」となる。首相は日米首脳会談で、新潟県民の関心が高い北朝鮮の日本人拉致問題の解決を大統領に直接訴えることなどで安倍外交をアピールして、県知事選での与党支持につなげたい考えとされる。しかし、森友問題での4日の財務省調査報告と処分でさらに拡大したようにみえる国民の政権不信が、与党候補の得票に影響するのは避けられず、首相の外交アピールが空振りに終わる可能性は否定できない。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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