安倍首相を襲う新潟知事選「恐怖のシナリオ」 「がっぷり四つ」の戦いは会期末攻防にも影響

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与党が推す花角氏は、2015年までの約2年間に同県副知事を務めたキャリア官僚。二階俊博自民党幹事長が運輸相時代に秘書官を務め、今回の出馬も二階氏の強い押しがあったとされる。選挙戦で同氏は原発再稼働問題について、「福島第1原発事故の検証作業に2~3年をかけ、任期中に再稼働の是非を判断して改めて民意を問う」と主張。「将来的には原発に依存しない社会をつくりたい」と訴えることで再稼働問題の争点化を避ける戦術だ。

対する池田氏は原発がある柏崎市出身で地元市議(3期)、新潟県議(1期)を経ての挑戦。「新潟を変えたい」と5月8日に出馬宣言し、立憲、国民、共産、自由、社民の野党5党が推薦する「女性統一候補」となった。同氏は「原発の検証作業に3年以上かける」と主張する一方、再稼働の最終判断は県民投票に委ねる考えも示し、野党が今国会に提出した法施行後5年以内の原発停止を目指す原発ゼロ基本法案について「強く支持する」として花角氏との違いをアピールする。

与党幹部は街頭に姿見せず、野党党首は前面で訴え

選挙戦で与党側は「政党色を出すと県民の反発を招く」との判断から基本的に裏方に回って組織固めに全力を挙げるが、5野党は幹部が連日応援に入るなど総力戦を展開している。昨年10月の衆院選は全体では自民党が圧勝したが、全県的に「自民対野党統一候補」の構図となった新潟では、野党が自民を圧倒した。また2016年夏の参院選新潟選挙区でも無所属の「野党統一候補」となった森裕子氏(現・自由党参議院会長)が自民党現職を破った。このため、今回も野党が勝てば、来夏の参院選も含め、次期国政選での全国的な統一候補擁立に弾みがつくことは確実とみられている。

選挙戦最終週を控えた週末の2日には、池田氏を支援する野党5党と衆院会派「無所属の会」の党首らがそろってJR新潟駅前で街頭演説した。立憲・枝野幸男代表が「ここからの1週間で勝負が決まる」と檄を飛ばし、国民・大塚耕平共同代表は「知事選の勝敗が安倍政権の命運を決める」と必勝を訴えた。共産・志位和夫委員長も「新潟は市民と野党の共闘で、すばらしい歴史を刻んできた」と声のオクターブを上げ、自由・小沢一郎代表、社民・又市征治党首、無所属の会・岡田克也代表もそれぞれ「野党共闘」をアピールした。

一方、自民党は知名度の高い丸川珠代前五輪担当相や、官僚出身で元大阪府知事の太田房江参院議員ら有力女性議員を送り込み、花角氏に寄り添う形で「霞が関の手の内を知っている花角候補にこそ、新潟を日本一にする力がある」などと支持を呼び掛けた。また、公明党も有力幹部が現地入りして関係団体を回るなど、得意の組織票固めに力を入れた。

自民党は、「新潟で負ければ、来夏の参院選での『党の顔』を選ぶ、9月の総裁選での首相の3選に影響が出る」(細田派幹部)ことを懸念している。ただ、財務省決裁文書改ざん問題などで安倍政権への批判が強まっていることから、首相をはじめ政府与党幹部は選挙戦の前面には立たず、「県民党」という看板で逆風を交わす戦略だ。告示後2度新潟入りした自民党の竹下亘総務会長も街頭演説はせず、地元財界などの支持団体を回って組織票固めを優先した。花角氏の選挙事務所には二階派議員の秘書が多数常駐して選挙活動を下支えしている。

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