アマゾンをも阻むブラジル「貨物強盗」の猛威

2つの州だけで年間2万2000件の貨物強盗

 5月30日、ブラジルの2大都市を抱えるサンパウロ、リオデジャネイロ両州だけで、昨年2万2000件の貨物強盗が報告されている。1日当たりで過去最高の約60件という頻度だ。写真はトラック輸送・物流部門の国内最大手ブラスプレスのトラックドライバー。グアルーリョスで3日撮影(2018年 ロイター/Paulo Whitaker)

[グアルーリョス(ブラジル) 30日 ロイター] - サンパウロの埃っぽい郊外に設けられた格納庫のような部屋では、ずらりと並んだモニターをにらみながら、元憲兵隊大佐アントニオ・マーリン氏と10数人のスタッフが、数百台もの貨物トラックの位置を追跡している。

サンパウロ州憲兵隊に従事していた34年間のあいだで、大腿部に銃撃を受けたり、州知事の護衛を2年間務めた経験もあるマーリン氏だが、民間トラック運送会社における現在の職務が、彼にとって最大の試練となるかもしれない。

ブラジルでまだ発展段階にある電子商取引(EC)ビジネスを揺るがす度重なる貨物強盗から、衣料品や化粧品などの商品を守ることが、マーリン氏の仕事だ。

年間損害額は数億ドルに

国内2大都市を抱えるサンパウロ、リオデジャネイロ両州だけでも、昨年2万2000件の貨物強盗が報告されている。これは1日当たりで過去最高の約60件という頻度で、2012年から倍増している。貨物輸送を襲っているのは組織的な犯罪集団だとみられており、年間損害額は数億ドルに達すると試算されている。

「リスクは常にある」とトラック輸送・物流部門の国内最大手ブラスプレスで警備部門を率いるマーリン氏は語る。「貨物をトラックに積んだ瞬間から始まり、国内移動中ずっとだ」

あらゆる種類のビジネスが標的となっているが、強盗団が特に好むのは、盗品の転売が容易な消費者向け商品だ。このことは、急成長するブラジルの電子商取引にとって、特に大きな障壁となっている。警備コストが利益マージンを圧縮しており、オンライン小売や物流関係企業は、ブラジルでの事業戦略の練り直しを迫られている。

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