スマート家電に広がる期待と懸念 省エネ住宅に商機

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思惑食い違う家電・住宅業界

電機各社はHEMSとスマート家電の需要創出に向けて住宅メーカーとの連携強化に動いている。スマートハウスは新築での導入がほとんどで、「住宅メーカーが有利」(積水ハウスの石田建一執行役員)だからだ。

東芝は積水ハウスの新築住宅向けに採用されたHEMS新製品を11月から販売。三菱電機も「何社かの住宅メーカーと商談を進めている」(梅村博之・常務執行役)。ただ、積水ハウスではパナソニック製もすでに扱っており、大和ハウスでは自社のHEMSを使用。電機各社の思惑通りにいかない可能性がある。

住宅メーカーは「スマート家電がなくてもスマートハウスは実現できる」(大手メーカー役員)と秋波を送る電機各社に対して冷ややかだ。スマートハウスにはHEMS、太陽光発電、蓄電池の3点の標準装備が一般的だが、必須機器の規定がなく、各社の装備はまちまちなのが実情。「スマートハウスはあくまでエネルギーを賢く使うという考え方に基づく。間取りの工夫や断熱材の改善などで事足りる場合もある」(大和ハウス幹部)。

住宅業界関係者からは「日本メーカーの家電は結局、技術先行型。利便性に本当に応えるものなのか疑問」と皮肉る声も聞かれるほどだ。

メーカー違えば連携不可能

HEMSと各家電のメーカーが違うと相互通信ができないという技術的な問題もある。現時点ではメーカーの垣根を超えて連携できないケースがほとんど。機器間で相互通信するための"共通言語"にあたる通信プロトコルは決まったが、その伝え方である通信規格が各社バラバラなためだ。

官民で標準化に向けた検討を進め、通信プロトコルは「ECHONET Lite(エコーネットライト)」に規格化されたが、WiFiなど通信規格が共通化されていない。家電すべてを同一メーカーにしてもらうのが電機各社の理想だが、現実にはそううまく運びそうにない。

広島県で戸建てに住む若松さとみさん(41)。洗濯機と冷蔵庫は日立<6501.T>製で偶然そろったが、エアコンはダイキン<6367.T>製。「家電のブランドを統一したほうが省エネ効果を最大化できるといわれても、最後は価格と機能で選ぶ」と話す。電機各社がスマートハウス市場を突破口にスマート家電で勝つためには、多くの課題が待ち受けている。

(白木 真紀 編集;田巻 一彦)

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