清澄白河にある「シェアホテル」のスゴイ中身 単に安く泊まれるというだけではない
重要なのが、こうしたイベントなどに宿泊客に気軽に参加してもらうことで、地域の人と観光客の交流を促進していることだ。同ホテルを企画した1人である、リビタの西山尚子氏は、コンセプトについて次のように語った。
「地域で活動するプレーヤーが使える場所づくりをしたかったということがあります。また、地域の人と触れ合いながらローカルな体験をすることで、新たな気づきや町歩きのきっかけになればと考えています」(西山氏)
講師や参加者の宿泊、飲食がそろっているホテルという形態は、イベントを行ううえで機能的ということもある。
清澄白河といえば、東京都現代美術館や小さなギャラリーが点在することで、以前より“アートの街”という特性があった。またコーヒーの焙煎所が集まっていることから、ブルーボトルコーヒーが初上陸の地として選んだことでも名高い。最近ではクラフトビールの店やワインのフジマル醸造所がオープンするなど、こだわりのお酒を楽しめる店もちらほらできている。
ただし、同ホテルの立地はそういった界隈とはちょっと外れている。また最寄り駅からは徒歩10分といったところで、便利とは言いがたい。だからこそ、ホテルそのものや、ホテルで行われるイベントなどの魅力が重要だ。宿泊客が「便利な場所にあるホテルだから」ではなく、ホテルそのものが利用目的でなければならないわけだ。
「スタッフの教育では、コミュニケーションを重視しています。受け付け業務だけするのでなく、たとえば『どこを回られるのですか?』などお客様との会話の中で、周辺の観光スポットのアドバイスをする場合も多いです。観光客が普段足を運ばないようなところの魅力を伝え、地域活性化につなげたいと考えています」(中瀬氏)
地域資源を存分に取り入れた設計
では、ホテルとしての魅力はどんなところにあるのだろうか。何と言っても、川の景観という地域資源を存分に取り入れた設計が挙げられる。
「もとはオフィスだった建物をリノベーションしているため、ホテルとして新築で設計する建物に比べて、窓が大きいという利点があります」(西山氏)
個室タイプ4種類23室のうち18室がリバービューとなっており、バスルームから隅田川の景色を楽しむことができる。川に面しており周囲に建物がないため、シティホテルでは通常難しい、リバービューバスルームを実現することができた。なおバスルームとベッドルームの間はガラス張りにしてあるので、部屋全体が川に向かって開けているような眺めが楽しめる。もちろん、目隠しのブラインドや扉も設けられている。
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