投資家がトランプ大統領に惑わされない方法 米朝首脳会談の「ドタキャン」はないのか?

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実際に市場でも、多くの自動車アナリストなどが、「またトランプおじさんのいつもの『ハッタリ』であって、最終的に関税引き上げとはなるまい」との冷静な声が多いようだ。

米朝首脳会談についても、26日(土)にトランプ大統領は、やはり6月12日(火)に予定どおりシンガポールで開催する方向だ、と語った。もともと首脳会談をサポートする米国のスタッフは、5月27日(日)にシンガポールに向けて出発する予定だったが、そのとおり米国を発った、という情報もある。

このように、トランプ大統領は、これまでも、またこれからも、「不規則発言」を繰り返すだろうが、いずれは穏当な方向に向かっていく、ということであれば、市場は徐々に発言に対してあまり大きく反応しなくなっていくのではないか。そして市場の眼は、まだ足元で堅調な内外経済や企業収益に向かっていき、主要国の株価は徐々に上値を探る展開へと移行していくはずだ。

市場はじわりと明るい展開に?

29日(火)以降の材料をみると、週末には毎月恒例の米雇用統計の発表を控えるが、だからといって内外主要市場の株価が大きく動かされる可能性は少なそうだ。

「6月12日(火)に米朝首脳会談を行う方向だ」と公表されたことから、株式市場には安堵感が広がり、為替相場も円安方向への揺り戻しが生じやすい。

「先週の国内株式市場では、投資家の積極的な売買が控えられるなか、CTAの売りで相場が崩れた」とは言ったが、円高ぎみで輸出企業が買いづらいところ、イオン、セブン&アイホールディングスといった小売り大手や、資生堂、花王といった消費財関連は、株価が堅調だった。「輸出がだめなら内需を買おう」、という物色意欲が強かったと判断され、先行きは投資家の買いが勝ってくると期待できる。

こうした点を踏まえて、29日以降の日経平均予想レンジは、2万2300~2万3100円を見込む。

馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

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まぶち はるよし / Haruyoshi Mabuchi

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。(旧)日興証券グループで、主に調査部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月に独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行う。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。各地での講演や、マスコミ出演、新聞・雑誌等への寄稿も多い。著作に『投資の鉄人』(共著、日本経済新聞出版社)や『株への投資力を鍛える』(東洋経済新報社)『ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係』(金融財政事情研究会)、『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)などがある。有料メールマガジン 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」なども刊行中。

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