薄れる存在感? スカイマークの利益が半減 LCC台頭とコスト増で採算悪化。来期の起死回生なるか
「赤字をまるで気にしていないようだ」--。スカイマーク幹部は、LCCの価格攻勢に恨み節を述べる。
関西国際空港を拠点とするピーチ・アビエーションをはじめとするLCC3社が就航を開始したのは2012年のこと。その初年度決算を見ると、成田発着のジェットスター・ジャパンは90億円の営業赤字(2013年6月期官報より)、エアアジア・ジャパンも33億円の営業赤字(2013年3月期官報より)と、いずれも大幅な赤字を計上している。
もともと成田空港は東京都心から遠く、原則として夜23時以降に発着できない(一部は条件付きで24時まで緩和)という欠点がある。そのため羽田発着の航空路線よりも不利であり、そのことがLCC2社の業績が赤字先行となっている要因の一つであろう。
スカイマークにとってみると、低価格戦略を武器とするLCC2社の参入が、成田線の旅客減と採算の悪化の両面を招くという構図になっている。
燃料費の負担も増加
加えてスカイマークの重しとなっているのが、コストの増大だ。まずは燃料費。原油価格の高騰に加えて、前年度との比較では為替が円安に振れていることで調達コストが上がっている。原則として為替予約などによる為替変動リスクへのヘッジをかけていないことも、スカイマークにとっては痛い。
為替や原油相場の動向は流動的な側面があるものの、LCCとの競争という構造問題を鑑みると、スカイマークにとって国内線の競争環境は当面厳しい局面が予想される。
ただ、苦境を脱するための手は打っている。欧州エアバス社の超大型旅客機「A380」の導入により、2014年秋に参入をもくろむ国際線プロジェクトだ。