ゼネコン各社が「AIロボ」導入に超真剣なワケ 人手不足に備えて作業現場の自動化を推進
すでに安倍政権は、こうした事態を視野に入れ、16年に「i-constrution」と名付けて、25年度までに建設業の生産性を20%引き上げる目標を掲げた。建設業界でもこれを受けて、128万人の労働者不足を補うために若手中心に90万人の雇用確保と、IT化による10%生産性向上を掲げている。
若手確保へ休日増、生産性改善へロボット投入
ゼネコン各社も、従来にない新たな対応に乗り出した。
今年の春闘では、人手確保に向けて大手建設業の賃上げ率が全業種中トップに躍り出た。
さらに若手技能工確保に向け、休日確保を目的にした人事システムの変更も行っている。清水建設<1803.T>は今月9日、技能労働者が休暇を増やした場合の収入減に配慮し、下請け会社に対し、完全週休2日制を取る場合は労務費を10%加算すると発表。2年間で20億円程度の労務費増を見込んでいる。
少子化に加えて、建設業が3K(きつい、汚い、危険)というイメージで敬遠されてきたこともあり、29歳以下の就業者数比率は低下傾向が続き、ピーク時の1997年の22%から、最近では10%まで下がった(国土交通省資料)。大幅な賃上げと休日確保は、厳しい現実を直視した企業の取り組みと言える。
もう1つの目標である生産性向上に向け、最先端ロボットの開発も進む。
各社とも、従来型の人間が操作する建設機械に加え、開発過程で人口知能を使った自律型ロボットの開発に力を注いでいる。
鹿島は、17年秋にダムなど大型構造物におけるコンクリート型枠作業の「全自動化」に成功。型枠作業は人力を全く必要とせずロボットだけで対応できるようになった。例えば、北海道三笠市で施工中の新桂沢ダム堤体建設工事では、旧来なら5人で5時間弱の作業が必要だったのに対し、オペレーター1人が現場で対応し、3時間で完成する効果があったという。
清水建設では、大規模オフィスビル内装工事向けに、自らの位置認識と取り付け場所を把握し、天井ボードの持ち上げからビス打ちまで行うロボットを開発。さらにエレベータを使って上層階へ資材搬入などができるロボットも開発した。