チキンラーメンのCMが体現した「創造と破壊」 CM好感度調査上位に日清食品、キユーピーも
ここで着目すべきは“イジる”ベクトルが必ず自社に向いていること。他者を傷つけずに炎上しにくくさせる工夫も、数多くのチャレンジを続けてきた日清食品だからこそ身につけられた処世術と言えよう。それを支える根底には、今までの60年間で培われてきたブランドと消費者との信頼関係がある。
ブランドとは、製品や一瞬のキャンペーンだけで作られるのではなく、誕生から今までのストーリーによって築かれた消費者との関係性によってこそ作られる。日清食品の本領は、過激な企画を採用する勇気だけにあるのではなく、それを消費者が面白がってくれるような下地となる信頼関係を築いてきたことと、その信頼を損なわず、想定外として常識から少しはみ出す距離感を判断できることにあるのではないだろうか。
「♪た~らこ~ た~らこ~」あのCMが5年ぶり復活
「♪た~らこ~ た~らこ~」の懐かしいメロディーが約5年ぶりにテレビに帰ってきた。2006年には小学生ユニット・キグルミによる『たらこ・たらこ・たらこ』のCDリリースでも話題となった『キユーピーあえるパスタソース』のCMだ。
たらこの着ぐるみ姿でおなじみの“たらこキユーピー”が生まれた2004年10月には、突然卓上に現れた“たらこキユーピー”の大群に食卓に座る外国人少女が呆然とする内容で、オンエア開始以降CM好感度を右肩上がりに伸ばした。
限られた放送回数でも、それをクリエイティブの力で補い、見た人の記憶に確実に残るという“広告主孝行”なCMシリーズだった。この中毒性のあるBGMとたらこキユーピーから成る同シリーズは2013年2月まで展開されたが、それ以降約5年間はひと休み。バターのまろやかさが口の中で広がるように改良したという商品リニューアルに伴った今回のリバイバル作品で一気に上位に返り咲いた。
CMは、かつての資産をしっかりと活用しながら、リニューアルにあわせてアレンジも加わっている。「♪た~らこ~ た~らこ~」というおなじみの歌とともに隊列を成したたらこキユーピーが現れたと思えば、もう一方からは頭部にバターを滴らせながら歌に「バター!」と合いの手を入れる一団が登場するというものだ。
「久しぶりに見た」「昔のCMを思い出す」「一度聞いたら忘れられない曲」といった感想に加え、一見シュールなバターが滴る様子も「バターが汗みたいでおもしろい」と好評価だ。思えばシリーズ開始当初も「不気味だけどかわいい」という意見が散見されており、可愛いだけではない奥行きを感じさせるキャラクターが幅広い世代の関心を集めていた。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら