スバル水平対向エンジンの音が変わった理由

独特のボクサーサウンドは聞けなくなるのか

ところで、スバル1000に搭載されたEA52型エンジンは、上記2方式とは違うガスの流れ方をしていた。吸気が入ってきた方向の横へ、排気が抜けていくのだ。したがって、エンジン前側のシリンダーは水平対向エンジンの前端に排気が抜け、後ろ側のシリンダーの排気はエンジン後端側へ排出される。

エンジンから出てきた排気は、水平対向エンジンの右と左それぞれで一旦2気筒分の排気管が集合し、その後にまた集合部分があって1本の排気管となり、車体後端から大気中へ排ガスを放出する。

水平対向エンジンの前側と後ろ側の排気管を集合させる際、エンジンから出た排気は最初の2気筒分の集合部分までの長さが、前側の排気管が長く、後ろ側の排気管はそれに比べ短くなる。最終的に車体後ろ側へ排気を持っていくのだから、前が長くなるのは当然だ。

長さの違う排気管の集合部分へ、燃焼を終えたガスが流れていったとき、より長い排気管を伝って出ていく排気は、短い排気管を通る排ガスに比べ長い道のりを通るので、集合部に至るまで時間を要する。これにより、4気筒が順番に燃焼を行った後の排気は、順番に整然と流れ出ていかず、別の気筒で燃焼を終えたガスと集合部分でぶつかり合ってしまうことが起こる。これを、専門用語では「排気干渉」と呼ぶ。

水平対向エンジンの断続的な排気音をもたらしている

ぶつかり合った排ガスのあとから来たほうは、そこで流れの勢いが止められてしまい、これが、スバルの水平対向エンジンの断続的な「ボロロロッ」とか、「ボロボロボロ~」という断続的な排気音をもたらしていたのである。

排気干渉は、エンジン内部から外へ燃焼を終えたガスを排出する妨げになる。ほかの気筒で燃焼を終えた排ガスがまだあるうちに、排気がぶつかり合ってしまうと、いわば壁に当たったようになって排ガスがシリンダー側へ戻ろうとし、排気の抜けを悪くする。

排気の抜けが悪いということは、シリンダー内に燃え終わったガスがまだ残り、次の行程で新しい混合気(ガソリンと空気が混ざったガス)をシリンダー内へ入れようとしても、十分に入り切らないことになる。

そうなると、次の燃焼の際に、本来期待される混合気の量が少なくなり、狙った出力が得られなくなる。出力が得られないと、運転者はアクセルペダルの踏み込みが足りないと思い、もっとアクセルペダルを踏み込むので、燃費が悪化する。

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