61. 日本人が行う〈布団の上げ下ろし〉という習慣は明治後期になって始まった
62. 1830年に京都・三条通りで創業した「岩田蒲団店」(現イワタ)は日本で初めて既成寝具を販売したといわれる
63. 三代目となる岩田市兵衛は1888年にインド綿が大量輸入されてきたことで既成布団の生産・販売を本格化
64. のちに彼は海外の羽毛布団にも着目し、羽毛研究のパイオニアとしても知られる
65. また同時期、蚊帳の専門店として知られた西川商店(現西川産業)が京都・大阪で布団販売を開始している
66. 実は明治~大正期、布団は各自家庭で仕立てるもので、布団屋ではなく「綿屋(わたや)」が主流だった
67. 綿屋の商品は木綿綿(もめんわた)や真綿が主で、古い綿の打ち直しも行なっていた
68. そのころ欧州では科学の進歩とともに金属製のベッドが大ブームとなり大量生産されるようになっていた
69. 19世紀後期には欧州と米国でベッドに対するパテント保護が行なわれるようになり多数の新案が登場する
70. このことがマットレスを平面で支えるボトム部分の進化に大きな影響を与えた
ベッドで眠る就寝スタイルを日本へ
71. 明治天皇の近衛兵の息子だった宇佐美竹治は1890年に創業した帝国ホテルに就職後、イギリスに留学する
72. そこで西欧文化に触れた彼は〈ベッドで眠る就寝スタイル〉を日本に持ち込みたいと思い立つ
73. 宇佐美はイギリスでベッド&マットレスという新しい寝具の製造法を研究して帰国
74. 1926年に日本羽根工業社(現日本ベッド)を創業し、日本初のベッド製造&販売に挑んでいく
75. しかし当時の日本では布団が主流で、一部の高級官僚や富裕層から依頼された特注ベッドが中心だった
76. 1956年、車両シートの製造工場だった双葉製作所(現フランスベッド)がソファーベッドの製造・販売を開始
77. 車のシートのスプリングを利用したソファーベッドだったが月賦販売とTVによる宣伝効果で人気が爆発した
78. 戦後、新たな団地が続々建設されたこと、また洋風ブームも相まって庶民の間にもベッドが広まっていく
79. その後、高度経済成長によってさまざまなメーカーから多彩なベッドが登場し、ベッド文化が根付いていった
80. 近年、それぞれの体型や健康状態に合わせたベッドや枕選びがブームになっている
無料会員登録はこちら
ログインはこちら