駅から野球ファン運ぶ「シャトルバス」の実態 球団とバス会社の連携はとれているのか
利用料金は、同一距離の路線バスの正規料金が大人180円のところを、大人100円、子ども50円にしている。5球場のシャトルバスの中で、ディスカウントプライスを適用しているのは仙台市交通局だけ。仙台に来てくれたイーグルスへの協力の一環で、現在も料金は運行開始当時から変えていないが、燃料費と人件費が高騰する中、採算は厳しい。
仙台市内は市の中心部で一律100円の区域を定めているが、それは利用者が安定的に多いから。片道のみほぼ満員、戻りは空の状態になるシャトルバスは、一往復あたりの乗車率は5割を切ってしまう。
値上げも検討、球団も了承したが見送った。仙台市内は自家用車での通勤者が多いためか、シャトルバスの利用者は現金で料金を支払う人が多い。数十円単位で値上げをすれば、両替して端数を払うことになるため、下車に要する時間が延びる。結果、バスの必要台数が増えて本末転倒になるのだ。
現金払いとICカード払いで料金が異なるZOZO
千葉ロッテマリーンズの本拠地・ZOZOマリンスタジアムはJR京葉線海浜幕張駅から1.2kmの場所にある。歩道橋を使えば一度も信号待ちをせず球場まで行けるので、球場までの徒歩での所要時間は1分80m換算で15分。球場に乗り入れている路線バスもあるが、球場と駅を直接結ぶシャトルバスも3路線運行されている。JR海浜幕張駅便、JR幕張本郷駅便は京成バス、JR稲毛駅便は京成バスグループの千葉海浜交通が運行している。
海浜幕張駅便、幕張本郷駅便は、他の京成バスグループ各社に応援を要請して運行しているので、京成バス以外の車両も使われている。距離が短い海浜幕張駅便は、ゲーム終了後3~4往復する。
車両の投入台数は観客動員数で変えており、参考にしているのは当日のチケットランク。マリーンズは繁閑に応じてチケットランクを4段階に分けており、ユニホームの無料配布がある日などプラチナランクの日は動員数も増えるので台数を増やしている。マリーンズ仕様のラッピングバスも合計16両投入されていて、このうち2両は連接バス。連接バスが投入されているのは幕張本郷駅便だけで、残念ながら停車場所の問題から海浜幕張駅便には投入されていない。
車内にはマリーンズの選手によるアナウンスが流れるが、内容は仙台とは異なり、車内マナーや交通安全を呼びかけるものになっている。
海浜幕張駅便の料金は、現金払いの場合とICカード払いの場合で変えており、現金なら大人100円、子ども50円だが、ICカード払いだとそれぞれ165円と83円にハネ上がる。京成バスでは、バス利用の促進を狙い、現金払いに限って利用料金を100円とする「ワンコイン運賃区間」を、津田沼駅周辺と京成幕張駅周辺、それに幕張新都心を中心とする海浜幕張駅周辺に設けており、球場周辺も対象区間になっている。このため、海浜幕張駅前から球場に乗り入れている路線バスに乗っても、現金払いなら100円だが、うっかりICカードで払うと165円になってしまうのだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら