新日鉄、JFEはどう動く? 電炉メーカー再編の行方

新日鉄、JFEの強化策 カギを握る商社の動き

 独立系に切迫感が乏しいのは、これまでの電炉再編は新日鉄系、JFE系といったグループ内部の動きにとどまってきたからだ。 昨年10月に大阪製鉄が東京鋼鉄の子会社化を発表し(今年2月の臨時株主総会で否決)、5月に共英と合鉄が提携強化の動きを見せている。大鉄、合鉄は新日鉄系、共英は住友金属系で、新日鉄と住金は株式持ち合いも含めたアライアンス関係にある。業界関係者は「新日鉄は世界再編に向けたグループ強化策の一環として、国内電炉との関係強化を今後も進めるだろう」と話す。

 一方、同じく高炉大手のJFEは系列電炉の設備投資に06年度からの3年間で600億円と、直近3年の3倍に当たる額を投入。筋肉質の体制づくりを強化する。だが、旧NKKと旧川崎製鉄が統合した際にグループ内の電炉も整理したとして、当面は電炉再編には静観の姿勢だ。

 いまのところ、電炉再編の動きは新日鉄・住金連合とJFE系の枠内で完結している。

 しかし、ある電炉メーカー幹部は「商社が再編のトリガーを引く」とみる。

 バブル崩壊後、建設需要が激減した関西では、三菱商事が中心的な役割を果たし、01年に新関西製鐵が誕生した。昨年の大鉄による東京鋼鉄子会社化計画も、背後で東京鋼鉄の大株主である三井物産が動いたことは想像に難くない。

 総合商社にとって、収益性の低い電炉の株式は低効率資産だ。市況に恵まれている現在はともかく、中期的には出資先の電炉に抜本的な経営改善を促すことになろう。その結果、再編が始まれば新日鉄・住金連合やJFEも勢力範囲の拡大に動くのが自然だ。現在の好況は電炉各社にとって、最後のモラトリアム(猶予期間)なのかもしれない。

(書き手:猪澤顕明)

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