新日鉄、JFEはどう動く? 電炉メーカー再編の行方
再編にソッポを向く独立系電炉メーカー
鉄鋼メーカーは、大規模設備で鉄鉱石と石炭から大量生産する「高炉メーカー」と、小規模設備で鉄スクラップから鋼材を作る「電炉メーカー」とに分かれる。 日本の鉄鋼生産は年間1億1700万トン(2006年度)。このうち4分の3をわずか5社の高炉メーカーが占めるのに対し、残りの4分の1を高炉の8倍以上の数の電炉メーカーが分け合っている。特に、得意とする建材マーケットは年間1200万トン規模でしかなく、ここに40社がひしめき合う構図だ。ほぼ同規模の建材マーケットを持つ韓国が6~7社なのに比べると、彼我の違いは明らかである。
加えて、将来の市況悪化が想定される。現在、電炉各社は販売単価上昇で空前の高収益。が、国内需要は公共事業の減少などで頭打ちの状態が続く。また、建材は自動車用鋼板など他の鋼材に比べると参入障壁が低いため、爆発的な勢いで増産が続く中国製品の流入が時間の問題とされる。
にもかかわらず、再編のピッチが鈍いのはオーナー色の強い独立系メーカーが多いためだ。「電炉再編は合鉄や共英製鋼が勝手に言っていること。うちは参加する気はない」(独立系の大手電炉幹部)。
日本の電炉メーカーは高炉系、商社系、独立系の三つに大別される。電炉の業界団体である普通鋼電炉工業会に属している35社のうち、独立系は16社。これら独立系トップは儲かるときに内部留保し、儲からないときに赤字補填や設備更新に充てる経営で、かつての鉄鋼不況を乗り越えたとの自負がある。
今後の市況悪化への対策も着々だ。電炉最大手の東京製鉄は、高炉の専売品であった自動車用鋼板への進出を検討。“西の雄”といわれる大和工業は新たに中東バーレーンへの進出に合意、海外展開を積極化している。そもそも、「一国一城の主」という意識が強いため、再編に打って出る気概に乏しいようだ。