スバルがアメリカでブランドを築けた真因 振り返れば数字を追わず着実に売ってきた
SOAの取り組みとしてもうひとつ「バッジオブオーナーシップ」も紹介したい。2010年から中古車を含めた購入者向けに展開しているサービスで、ユーザーが自分の趣味に該当するバッジをリクエストするものだ。自分のライフスタイルを示すことができるアイコンとして人気だという。
この日は「スバルアンバサダー」にもお会いした。購入を考えている人が話を聞くことができるほど詳しいユーザーを、SOAが選任するものだ。
アンバサダーはいまなお増え続けている
SOAから一定期間ごとに資金を渡され、グッズやクーポンなどをユーザーに配りつつ、購入希望者へのアドバイスを行っている。ソーシャルメディアも積極的に使いこなす。毎月のレポートが義務づけられるが、特別仕様車を事前に見ることができるなどのメリットもある。現在全米で1万1000人のアンバサダーがおり、いまなお増え続けているそうだ。
2001年からアンバサダーを務めるWRXオーナーはSUBARUを9台乗り継いでいるそうで、ひと目見て走り屋とわかる。日本の「スバリスト」と呼ばれる人たちに通じるイメージだが、乗り続ける理由としては、転倒事故に遭った際に軽傷で済んだことを挙げていた。やはり安全性がポイントだった。
ワールドスバルの関係者は、「もっとたくさんクルマを送ってくれればたくさん売れる」と語っていたが、SOAやSUBARUとの関係は良好であることも付け加えた。SOAのベスキー氏も、「もっと作ればもっと売れただろう」としたうえで、「振り返れば数字を追わず、着実に伸ばしていったことが良かった」と語った。
SOAの10年間の活動は、Loveキャンペーンが象徴しているように、量から質への転換だった。その転換が結果的に量を増やすという好循環を生んでいる。目先の損得に左右されない、ユーザーに向き合ったマーケティングは、日本の現場にも参考になる実例ではないかと思った。
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