欧州の超高級車が「SUV」に続々参入する事情 あのロールス・ロイスやランボルギーニまで

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2017年、国別の自動車販売台数は、第1位の中国が2912万台、続くアメリカが1758万台、そして第3位の日本が524万台。日米市場の頭打ちが鮮明になっている中、中国市場の成長が際立っており、自動車メーカー各社が中国最優先の戦略を進めるのは当然だ。

その中国では近年、これまでの定番商品だったセダンからSUVへのシフトが加速しており、スーパーリッチ層による“SUVを使った見栄の張り合い”が始まっている。

プレミアムはアクティビティへ

別の視点で、欧州超プレミアムブランドのSUVシフトを見ると、アクティビティ志向へのシフトという面がある。

あのロールス・ロイス初のSUV「カリナン」(写真:ロールス・ロイス)

元来、ロールス・ロイスやベントレーなど伝統的な超プレミアムブランドは、運転手(ショーファー)付きで後席に乗るため、ショーファーカーと呼ばれた。その発展形として、2ドアオープンカーでサマーバケーションを楽しむといったトレンドが生まれた。

今回のSUVシフトでは、そこからさらに一歩先に進んで、スキーリゾート、キャンピング、そして砂漠での“クルマ遊び”でのオフロード走行をイメージした4輪駆動車(4WD)とした。ショーファーカーから、自分自身でアクティビティを楽しむ“身近なクルマ”への進化だ。

これは、スーパーリッチ層の世代交代や、IT長者などによるスーパーリッチ層の若年化による影響がある。

また、ランボルギーニや、近年中にSUVを発売するアストンマーティンなどのSUVは、オフロード志向というより、都市向けのクロスオーバーSUVという商品イメージが優先することを付け加えておきたい。

プレミアムブランドでもSUVシフト

2000万円台や3000万円台など、超プレミアムブランドのひとつ手前である、プレミアムブランドでもSUVシフトが進んでいる。

この市場の最高値モデルとしては、メルセデス・ベンツ「Gクラス」がオフローダー+シティユースの融合によって確固とした地位を確立してきた。日本でも最近、東京都内でGクラスを見かける機会が一気に増えた印象がある。

Gクラス以外のメルセデスでも、モデル名称「GLC」や「GLE」などセダンをベースとしたクロスオーバーSUVの市場が拡大している。

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