ナッシュビル事件が露わにした銃規制の欠陥

州をまたがった移動者に規制が行き届かない

イリノイ州は、警察のような法執行機関に対し、対象者のメンタルヘルスに問題があって危険を引き起こすと思われる場合には銃の免許を取り消し、銃を剥奪する権利を与えている。このような州は希少だ。テネシー州では、ほとんどの州と同様、精神保健施設に収容され、危険と判断された場合のみ、銃を押収できる。

レインキング容疑者のケースではどうだったのか。

容疑者の銃免許を取り消したのだが…

昨年、米国のシークレットサービス捜査員がホワイトハウス近くの立入禁止区域に侵入し逮捕された後、イリノイ州警察は容疑者の銃免許を取り消し、所持していた銃器は父親に返された。

トラビス・レインキング容疑者(写真:ナッシュビル警察/ REUTERS)

当局は、父親が犯罪となるイリノイ州で銃を容疑者に返したのか、もしくは犯罪にはならないテネシー州で返したのかは明らかにしていない。

2012年のサンディフック小学校銃乱射事件以来の懸案になっているにもかかわらず、連邦議会は、銃を持つ権利を主張するグループからの反対を受けて全国的な銃規制法を通過させていない。

しかし、銃規制主張者の中は、国家レベルでの行動を通じて、統一された銃規制法への着実な動きを見ている者もいる。

「私たちの動きは少しずつ前進している。多くの議員に対し、公共の安全のために投票すべきだと説得しているところだ」と銃規制グループである「Everytown for Gun Safety」のヨナス・オランスキー副法務ディレクターは語る。

例えば、ワッフルハウスでの銃撃後、テネシー州の議員たちは、別の州で「差し止め、取り消し、または押収」の状態にある住民が同州内において銃を購入または所有することを違法とする法案を起草した。

イリノイ州のウィリス議員にとって、それはあまりにもわずかな前進であり、遅すぎるものだ。

「銃保有者に対して保有者であることを明示させる赤旗法が必要だ。銃保有を規制する連邦法が制定されるまで、その必要性を訴えていきたい」とウィリス氏は言う。

(執筆:アンドリュー・ヘイ、
編集:ビル・タラント、シンシア・オスターマン)

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