ナッシュビル事件が露わにした銃規制の欠陥 州をまたがった移動者に規制が行き届かない

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4月22日のレストラン襲撃事件は、銃規制支持者が、銃を所有する憲法上の権利を擁護するよう求めている人々への怒りを掻き立てる最新の大量殺人といえる。

フロリダ州パークランドの高校で今年2月14日に起きた銃乱射事件以来、この議論は激化している。その大量殺人は、ナッシュビルでの銃乱射の2日前の4月20日には銃規制強化を求める全米の高校生らが午前10時に一斉に教室を退出する抗議活動を行ったばかりだった。

議論として浮上しているのは、レインキング容疑者のケースであったように州をまたがった銃輸送に関するルールなど、連邦レベルでの法律の必要性だ。

イリノイ州のキャスリーン・ウィリス議員(民主党)は、「われわれは、州の境を越えるこれらの類の移動に対して保護する国内法を持つ必要がある」と言い、家族がメンタルヘルスの問題に直面している親族からの銃器の押収することを許可する「赤旗」法案を後援している。

多くの銃撃犯が精神病を患っている

銃規制法が精神病を扱う様々な形が懸念を引き起こしている。マザー・ジョーンズ誌の調査によれば、1982年から2012年までの62回の乱射事件で、銃撃犯のうち38人が殺人前に精神障害の兆候を示している。

レインキング容疑者自身が精神的な問題を抱えていた過去を持つ。彼は警察の記録によると、ポップシンガーのテイラー・スウィフトが彼をストーキングしており、自分を殺すと脅したと信じこんでいた。

国で最も影響力のある銃を持つ権利の支援団体である全米ライフル協会(NRA)は、心神喪失状態と判断された者、または「不本意に精神医療機関に収容された」者の記録が、銃器移送のバックグラウンドチェックに利用できるようにする法律を支持していると表明している。

「NRAはアメリカ国民の憲法上の権利を侵害することなく、破綻状態にある精神疾患者の情報システムを修正するための合理的な措置を支援する」と同グループのウェブサイトにて述べている。

同グループは、「銃を所有することで、自分が自分自身や他の人にとって危険な存在になることを明示する」ことを目指す、ウィリス氏の「赤旗法」のような法律に対する反対声明も3月に発表している。

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