ナッシュビル事件が露わにした銃規制の欠陥 州をまたがった移動者に規制が行き届かない

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4月22日、悲劇の現場を捜査するナッシュビルの警察官(写真:REUTERS/Harrison McClary)

昨年、トラビス・レインキング容疑者の半自動ライフルは、同容疑者がホワイトハウスに入ろうと試みた際に押収された。ところが、同容疑者はイリノイ州から精神病の兆候があっても銃の所持の制約にならない近隣のテネシー州へ移り住むことで銃の所持を続けた。

4月22日にテネシー州ナッシュビルのレストラン「ワッフルハウス」で4人を殺害し、4人を負傷させたことで告訴されている29歳のトラビス・レインキング容疑者は、父親から半自動ライフル「AR-15」やその他の銃器を受け取っている。ところが、その時期と方法についてはっきりしないままである。

銃乱射事件のような犯罪の阻止を困難にする可能性があるのが、米国各州の銃規制法の違いだ。

銃規制法は各州が設定している

米国連邦制度は、ほとんどの銃規制法の設定を州に任せている。銃器の店舗販売前の身元確認を義務付けているのは米国の州の半分以下にすぎず、銃の展示会を含め、すべての購入に対して「ユニバーサルチェック」を義務付けている州はほんのわずかだ。

バージニア州は2007年のバージニア工科大学銃乱射事件の後にメンタルヘルスについての報告をより厳しくしたが、銃器の登録を義務付ける法律はない。アラスカ州は、1人当たりの銃による死亡率が最高の州であるが、やはり登録を行う必要はない。ほとんどの州は住民に公の場での銃器所持を許可しており、すべての州は何らかの形で隠して携帯する武器の所持を許可している。

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