脳性まひの21歳ヴァイオリニストの壮絶人生

二人三脚で歩む母が惜しみなく注ぐ愛

「コンサートで見て、絶対にこの先生に習いたいと思ったんです。レッスンは情熱的で、気づいたら4時間も5時間もレッスンしてたことも多かったですね。肉体的な疲労ははんぱじゃなかったですが、先生はいじめられたときも親身になって励まし抱きしめてくれました。

こういうヴァイオリニストになりたいというより、こんな人になりたい。本当の意味で憧れの人です」(水晶)

ヴァイオリンの師だけでなく、人生の師でもある中西氏とは、今回のデビューアルバムで共演している。

照れながらもデビューへの思いを語る水晶(左)と啓子さん(右)親子(写真:週刊女性PRIME)

ずっと前に、本格的にデビューするときは自分が作曲した『メモリー・オブ・モーメント』でデュエットしてくださいって約束していたんです。

レコーディングはすごく緊張して、短時間で終わったのに10時間、弾いたくらいの疲労度でしたね」(水晶)

メジャーデビューを果たし、プロとしてスタートラインに立った水晶。だが、そんな彼を身近で支えてきた啓子さんが一昨年からがんを患っていることが昨年、わかったのだ。

がんのこと「なんで隠すの?」

「母は僕に隠していたんです。でも、一緒に歩いていても息切れしたりと、気になっていたんですよ。

そうしたら、母の携帯にメールが来ていたのをたまたま見ちゃって、がんのことが書いてあったので、“やっぱり”と思いましたね。“なんで隠すの?”っていうのが第一声でした」(水晶)

だが、2年前はまだ母子2人で音楽活動をしていたころ。今、休んでしまっては息子を支える人がいないと考えた啓子さんは、手術を拒否した。

「音楽活動が大事な時期で、手術以外でなんとか治そうと思いました。3歳で脳性まひと診断されたときから“自分の生きているうちに彼が社会で生きてる姿を見たい”という思いで育ててきました。その思いはがんになっても変わりませんから」(啓子さん)

そんな母を思い、2017年3月3日に水晶は初めて1日2回公演を行った。

「普段のコンサートだって手がしびれて悲鳴を上げるのに、1日2回のコンサートなんてできるのかって不安でしたよ。

でも、とにかく時間がないので早く母の治療費を稼ぎたいと思いました」(水晶)

次ページ「危うく自分の治療費になるところだった」
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