将棋AI「HEROZ」上場、株価急騰で問われる実力 社員数わずか39人、時価総額は1400億円に

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
林隆弘CEOは将棋のアマチュア一般棋戦で優勝経験を持つ実力者。アマ六段の資格も持つ(撮影:今井康一)

HEROZは2009年に林CEOと高橋知裕COO(最高執行責任者)によって設立された。NECの同期入社だった2人は2000年代の「iモード」ブームの時代に、さまざまなソフトを趣味で作るなど気心知れた間柄だった。「世界を驚かすことをやろう」という志を共有し、HEROZを立ち上げて、AIを駆使したモバイルアプリの開発に取り組んできた。

竹中工務店やマネックス証券とも提携

将棋界ではここ数年、羽生善治二冠(竜王・棋聖)による史上初の永世七冠達成や、史上最年少の14歳2カ月でプロ棋士になった藤井聡太六段の活躍、加藤一二三九段のテレビ露出など話題が相次いだ。これらの追い風もあり、HEROZは将棋ウォーズを中心としたBtoCサービスが順調に推移。2018年4月期は売上高11億円(前期比25.7%増)、営業利益3.2億円(同3.6倍)を見込む。そんな急成長の真っ只中にいるHEROZは、なぜ上場という選択をしたのか。

HEROZの社員数は39人で、そのうち約3分の2をエンジニアが占める(撮影:今井康一)

そこにはいくつかの理由がある。1つは上場による調達資金でサーバーに投資すること。もう1つが上場会社になることで得られる"信用力"だ。こうした先に見据えるのが、今後の成長エンジンと位置づける法人向け(BtoB)ビジネスの強化である。

HEROZでは今回の上場以前から、さまざまな企業と幅広い分野での協業を図ってきた。2016年5月からは株式市場の予測などのフィンテック分野で野村証券と共同研究を開始。同年12月には家庭用ゲームソフトを手掛けるバンダイナムコエンターテインメントとも資本業務提携した。

直近では2017年11月に竹中工務店と資本提携したことを発表し、建築物の構造設計にAIを導入するという試みを行っている。何十万種類に及ぶ建築用部材などの詳細なデータを入力し、建物の最適な構造を考案する。さらに、同年12月にはマネックス証券と、AIを用いた金融トレーディングサポートサービスの提供に関する業務提携契約を結んだ。

次ページ佐藤名人を破って変わったこととは?
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事