日本人が知らないシリア難民の超過酷な現実 子どもたちのために危険を承知で海を渡る
国境なき子どもたち(KnK)でヨルダンに駐在しシリア難民支援を続ける松永晴子さんをゲストに迎えて2017年6月に開催した「伝える人になろう講座」(恵比寿新聞/NPO法人8bitNews主宰)をきっかけに、オレンジパフェさんのマリオネットが日本から5400キロ離れた松永さんの活動現場に渡り、シリア難民の子どもたちの心を癒しています。
マリオネット作家のオレンジパフェさんは、東日本大震災や熊本地震の被災地で子どもたちの施設に自ら作った人形を寄贈し続けるという活動を約2年間続けていらっしゃいます。この2年間で寄贈したマリオネットは、なんと計70体に。
一時帰国した松永さんが、マリオネットと対面したときにシリア難民の子どもたちの様子をこう報告してくれました。「子どもたちはお人形を『ハビーブ』と名付けました。本当にオレンジパフェさんのマリオネットパワーはすごい。お人形が登場した瞬間から子どもたちの顔がぱーっとほころんで。私たちが言葉を尽くしても、なかなかその笑顔は見ることができません。先生がハビーブを使って子どもたち一人ひとりのお話を聞くと、いつもはそんなに話さない子がはにかみながら嬉しそうにお話をしてくれました」
しかし、シリア危機から8年目を迎え、避難先での生活も長引く中、変わらずそこにある課題、そして新たに見えてきた課題もあったと、松永さんは言います。
今回の特集記事では、再び松永さんをお迎えして2018年4月13日に開催した「伝える人になろう講座」の様子をお届けします。第3国移住のためにヨーロッパを目指すシリア難民の方々を取り囲む環境について難民支援の現場を数多く経験している牧野アンドレさんから、一時避難先のヨルダン・ザアタリ難民キャンプでの生活が長期化した中での子どもたちへの影響についてKnKの松永晴子さんから、報告いただきました。
(聞き手:恵比寿新聞 タカハシケンジ、GARDEN堀潤)
行き場を失ったシリア難民
堀:ボートで海を渡り、その途中で漂着してしまって命を落とす難民の皆さんもいらっしゃるというのを、世界中で報道されたのが記憶にもある方もいらっしゃるかと思います。ヨーロッパへのゲートともなっていたギリシャの島で難民の支援を経験した牧野アンドレさんに、当時の様子を伺っていきたいと思います。牧野さん、よろしくお願いします。