グーグルの「GDPR対策」は、何が問題なのか パブリッシャーが不満を募らせるワケ
締切ほど人を動かすものはない。GDPR(General Data Protection Plan:一般データ保護規則)の施行がはじまる、2018年5月25日という日は、関連団体の規模に関わらず同規則準拠に向け、動きが活発化する大きなきっかけとなった。
フェイスブックのデータ運用に対する注目が集まっている一方で、グーグルのGDPRに沿った内容の広告サービスの企画・運営手法も、パブリッシャーの不満を募らせている。
グーグルは2018年3月下旬、アドサービスの利用に際してユーザーの合意を得るために、パブリッシャーに対しては「さらなるステップ」が必要となることを発表した。この取り組みの一環として、グーグルはパブリッシャーとともにデータの「共同管理者」になることを求めてきている。
パブリッシャーの不満
パブリッシャーのオーディエンスのデータのような貴重な資産についていえば、グーグルまたはそのほかの企業と「共同管理する」という発想は、どんなパブリッシャーも即座に承諾できるようなものではない。
ファーストパーティのオーディエンスデータが製品とビジネス双方のサステナビリティにとって不可欠であるということではない。グーグルがこの条件を求めている理由は、GDPR法の下における「管理者」というのは、「個人情報をどのように利用するかを定める会社」であるからだ。
現在までのあいだに、GDPRは、ほとんどのパブリッシャーにとって、オーディエンスデータを保管する者としての地位を高めるチャンスだという認識が強まっている。が、そのような楽観的な見方は揺らぎはじめている。パブリッシャーのなかには、GDPRのそもそもの前提事項を避けていこうとする、市場で大きな力を持ったプレイヤーへの不満を漏らしているものもいる。
GDPRには、デジタル広告の世界で生き残るために行われてきた悪い慣習を軌道修正する、という狙いがある。「GDPR施行の取り組みのなかで、『現状を維持する』という意図はない。我々全員が責任を持った行動を取ることが必要だ。パブリッシャーの価値をくすね取るためにそれを使うなど、決してあってはならない」と、別のパブリッシャー幹部は語る。