エリート官僚のスキャンダルが続出する根因

内閣人事局の「課題」と「処方箋」<前編>

実際問題として、人事院や旧総務省などの旧組織を統合したとしても、もともとこれらの組織が霞が関で強い影響力があったかというと、そんなことはないのだから、これを統合しただけで突然影響力が増すわけもない。

そうなると、内閣人事局の創設によって付け加えられた新たな権能、すなわち、この③が現在の議論の焦点であり、この「一元管理」なるものが、どれだけ官僚の心理と業務に影響を与えているか……だろう。

そこで同じ内閣のホームページから、幹部人事の流れを図示してみると下図のようになる。

この図のプロセスを経て任免される幹部職員とは、霞が関で「指定職」と言われる部長・審議官級以上の職員である。この指定職のポストの総数は約900弱と言われているが、この900名の中には、研究者や技術専門職という性格のポストも含まれるため、実際には、このうちの600名程度が、図に示した任用プロセスで内閣人事局の検討を経て発令が行われると言われている(全900ポストの内容は、人事院から、ポスト毎の給与のランクと数を詳細に定めた「案」が提出されており公表されている)。

ただ、これは、あくまで「職位の数」であって、そこに誰をつけるかの検討・決定は、別途、人事として行われる。その人事プロセスが上の図である。

各省庁から指定職(幹部)の候補となるべき人材のリストが提示されるその人たちが指定職にふさわしいかどうかの「適格性」は官邸で審査される。この「適格性審査」の内容は明らかにされていないが、懲戒処分を受けてないかとか、指定職になるべき前職の履歴が適切か(大きな職位のジャンプの有無など)といったネガティブチェックに近いものではないかと推定される。

なぜならば、この適格性審査によって、各省庁で幹部となるだろうと目されている職員(日本の官庁の場合、多くは年功で推定が可能である)が突然排除されたという話を聞いたこともないし、逆に、予想もされていなかった人が突然抜擢されたといった騒ぎが起きたこともないからである。

上記の適格性審査を経て、幹部職に登用される者の名簿が作成され、各省に配布されることになる。

各省庁の大臣は、この名簿を基に人事異動の案、つまり幹部職の任免案を作成する。

この「案」をもって各省庁は官邸と協議し、最終的な幹部職の任免が決定されるわけである。実際には、この「官邸協議」が、おそらく、最も官邸の影響力が発揮される場面であろう。総理であろうと正副官房長官であろうと、600にも上る全指定職のポストの職務を正確に理解はしていないだろうし、また、その候補者がどんな人間であるかも知らないだろう。

しかし、各省庁の次官、財務省の主計局長や主税局長、外務省の総合外交政策局長や経済局長、厚生労働省の年金局長といった内閣の政策に直結するようなポストであれば、職務もわかるし、そこに誰が就任するかは大きな関心事項でもあろう。ここに「官邸の意向」が官僚人事に反映されてくる余地が生まれると考えられる。

つまり、「内閣の政策に直結するようなポスト」の人事が問題なのである。ではどのように解決をしていけばいいのか。後編で論じていきたい。

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