池袋に出現した「電車が飛び出すビル」の正体 外観は「ダイヤグラム」装飾、新シンボルに

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西武の動きは池袋駅の再開発と密接にリンクしている。池袋駅を抱える豊島区には長年の悲願がある。池袋駅の東西の地上部に連絡通路を設けて、東西の行き来を容易にすることだ。池袋駅は地下が発達している。西武百貨店、東武百貨店などの商業施設が地下街で結ばれ、東京メトロ(東京地下鉄)、JR、西武、東武などの改札も地下にあるので非常に利用しやすい。一方で、地上では池袋駅北側の「ウィロード」と南側の「びっくりガード」というガードをくぐって東西を移動することもできるが、特にびっくりガードは人通りが少なく雰囲気も決してよくない。

そんな事情から、豊島区には池袋駅の北側と南側の2カ所に地上で東西を結ぶデッキを設ける計画がある。2011年の東日本大震災では、池袋駅周辺で多数の帰宅困難者が発生したことから、地震発生時における駅利用者の一時退避場所という意味合いもある。

折しも、南側では西武のビル建設が計画されていたことから、これと連動する形で南デッキを先行して整備することが決まった。豊島区では2020年度に南デッキ工事着手、2024年度完成を想定している。実現すれば、西武のビルの2階に設置されるデッキが東西デッキと接続することになりそうだ。つまり、西武のビルが池袋の東西の結節点としての役割を果たすことになる。

東武は西口の大型再開発に参画

渋谷は東急電鉄が駅の直上の超高層ビルをはじめ、エリア内に複数のビルを建設中で、渋谷における盟主の座を盤石なものにしようとしている(「東急がグーグル渋谷凱旋を熱烈歓迎する理由」)。新宿は50年越しの複々線化事業を終えた小田急電鉄が、次の大型投資として新宿の再開発に挑む(「小田急、次の野望『新宿駅西口』再開発の行方」)。西武鉄道と西武百貨店が手を組めば、池袋は「西武の街」として再活性化するのだろうか。

池袋西口の東武百貨店。再開発後は超高層ビルに生まれ変わる(記者撮影)

ところが、池袋の再開発を構想する鉄道会社は西武だけではなかった。西武が池袋駅東口の主役だとしたら、池袋駅西口の盟主は東武鉄道だ。そして東武はさらにスケールの大きい事業に挑んでいる。池袋駅西口地区でほかの地権者と共同で大規模な再開発事業を推進中だ。

東武百貨店に加え、駅前の雑居ビル群を解体し、高層ビル3棟やバスターミナルを整備するという大掛かりなものだ。この再開発構想は豊島区が計画する北デッキと接続し、東口とも連絡する。今年度中に都市計画を決定し、2023年度以降の解体・新築工事着手を目指す。完成すれば池袋西口の様相は現在とはまったく違うものになる。

西武と東武が別個に挑む池袋の再開発。完成の暁には家電量販店のCMソングで「東が西武で西、東武」と歌われるようなわかりにくさは解消されるだろうか。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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