「96敗」のヤクルトが今シーズンに懸ける再起

どん底状態の暗闇に差し込む一筋の希望の光

4月19日の広島戦。雄平の二塁打で生還し、ナインに迎えられるヤクルトの青木(手前)と奥村(写真:共同通信社)

今シーズンから、5年ぶりに古巣に復帰した宮本慎也ヘッドコーチは開幕前に言った。

「ペナントレースが143試合あるということは、143敗する可能性もあるんです。就任直後の秋季キャンプで、最初に僕は選手たちにそう伝えました」

長いプロ野球の歴史において、「シーズン全敗」というチームは今までに一つもない。しかし、宮本ヘッドの言うとおり、1勝もできないままシーズンを終えてしまう可能性は決してゼロではない。一方、今季17年目を迎える大ベテラン・石川雅規は言った。

「去年96敗して、“さすがにこれ以上どん底に落ちることはないだろう”と言う人もいます。でも、相手もプロである以上、さまざまな対策を練ってくるし、必死に練習をしてくる以上、決して“これ以上のどん底はない”とは言えないんです」

チームにある強烈な危機感

屈辱の一年となった2017年シーズンを振り返るべく、『96敗――東京ヤクルトスワローズ~それでも見える、希望の光~』を上梓した。このとき宮本ヘッドと石川にインタビューをしたのだが、2人の発言に共通するのは、強烈な危機感だ。

球団ワーストを更新し、信じられないほど負け続けた2017年シーズン。借金は51、首位広島東洋カープとの差は実に44ゲームもあった。5月から6月にかけては引き分けを挟んで10連敗。一時期は、「交流戦全敗もありうるのではないか?」という声も飛んだ。さらに7月1日から21日までは、同じく引き分けを挟んでまさかの14連敗。「泥沼」としか表現のしようがない状態が続いた。

まったく希望の光が見えぬまま、2017年シーズンは幕を閉じた。「このままではいけない」という危機感を首脳陣も、そして選手たちも抱いていた。だからこそ、「Swallows RISING 再起」というチームスローガンを掲げて、春季キャンプではこれまでにない過酷な猛練習を課した。そこにあったのは、強烈な危機感だった。

次ページ昨シーズン「96敗」の理由
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 森口将之の自動車デザイン考
  • 30歳とお金のリアル
  • ひとりの贅沢空間~週末に聴きたい名盤
  • 若者のための経済学
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
海外進出、そして株式上場へ<br>新日本プロレスの復活と野望

どん底の2000年代を経て鮮やかなV字回復を果たしたプロレス界の雄。キャラクターの異なるスター選手を複数抱え、観客の4割は女性だ。外国人経営者の下、動画配信や海外興行など攻めの姿勢を見せる。株式上場も視野に入ってきた。