「論理的なだけの人」に教えたい伝え方の基本 印象が薄い、企画が通らない人の盲点

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物語性のある文章を入れる例をあげてみましょう。私はビジネス書を執筆しますが、本の内容はノウハウを体系的に整理した構造化の文章が多くなりますが、「はじめに」では自分がこの本を書こうと思ったきっかけなど物語の文章がメインです。

構造化の文章がほとんどだろうと思われる技術論文でも、序論ではテーマを取り上げた動機や背景、どのような切り口でまとめるかなどを明確にし、独創性やオリジナリティが求められます。これはまさに物語の文章でしょう。

提案書や企画書なども単に「こうしましょう」とやることが書かれているだけでは納得感がなく、背景や何を解決したくて、どんな姿を目指そうとしているのかという物語がやはり重要です。

前職のグローバル展開をしているIT企業の提案書作成の研修では、従来は論理的な提案がメインでしたが、数年前からはストーリーで提案を語るという研修が出てきました。論理的な説得は最終ゴールが相手を「論破」するという結果になりがちですが、ストーリーで語ることの最終ゴールは「共感」であり、相手の協力を得られやすいというのが理由でした。

このように文章に構造化と物語性の2種類があり、それを最適なバランスで書くことによって、説得力があり納得してもらいやすい文章になってくると言えます。

では、それぞれの文章を書くためのテクニックやスキルの高め方をご紹介します。

構造的な文章の書き方

①フロアマップを目指す

まず、構造的な文章は何を目指すのかという基準ですが、「読んだ人の頭の中にフロアマップが描けるかどうか?」を基準にするとよいでしょう。

フロアマップとは百貨店であれば、各階が何を売っていて、どんな売り場が並んでいるのかを示していますね。構造化とは全体と部分を明確にすることです。つまり、目次や見出しをできるだけ読む人が覚えやすいように作ることが第一歩です。これができていれば、たとえ長い文章であっても、全体の中のどの部分を今読んでいるのかがわかり迷子にならなくてすむのです。

②マジカルナンバーを意識する

次にそのフロアの数ですが、多すぎると読んだ人は全体を把握しにくくなります。マジカルナンバーという言葉を聞いたことがありますか? これは人が記憶にとどめておける数という意味で、「7±2」、つまり、5つから多くても9くらいまでに収めたほうがよいとされています。

とはいえ、9つすべてを覚えられる人はなかなかいないでしょう。私の場合ですが、「5±2」、つまり3つから7つまでにするようにしています。3つというのはとても覚えやすいのは想像しやすいでしょう。ですので、項目が7つを越えたらいくつかをまとめてできるだけ少なくするようにして、全体と部分を覚えやすくしています。

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