「漫画村」、接続遮断をしたって死なないワケ

「サイトブロッキング」をしても効果は薄い

「緊急避難的」と断っているように、サイトブロッキングは根本的な問題解決の手法ではない。

しかし、「問題の重大性を鑑みて施されている措置」であることは理解する必要があるだろう。また政府だけの判断でアクセスを遮断したのではなく、人権保護団体やインターネット接続業者など、複数のステークホルダーや関係者が長い時間をかけて話し合った結果として「遮断するべき」との結論に至った経緯がある。

それに対し、今回は、政府だけの判断で決めたことだ。そのため、”緊急避難的措置”を行うべき事案なのかどうか、政府による事前検閲にあたるのではないかといった批判が、正式決定の前から噴出していた。誰がどのようにして、遮断すべきサイトを決めるのか、何ら判断基準や法的裏付けもなく政府が特定サイトのアクセスを遮断する例は、少なくとも先進国では見られないものだからだ。

前例を作ってしまうと後に禍根を残す

内閣府知財本部は「数ある海賊版の中でも特にアクセス数や被害額が大きいと見られることから、刑法上の緊急避難を適用してサイトブロッキングしていいという方針となった」と説明している。しかし、被害額などは推定アクセス数に正規価格を掛け合わせた非現実的な数字しか話題にのぼっていない。実際の被害額は想定しにくいといえる。

しかし、筆者はそれ以前にサイトブロッキングの効果そのものが限定的であり、立法プロセスを省略してまで特定サイトをブロックしても、その効果はかなり限定的である、と考えている。むしろ、人権侵害などの重大な被害が起きてない中で閣議決定のみでブロックできるという前例を作るほうが後に禍根を残すのではないだろうか。

確かに児童ポルノではサイトブロッキングが運用されているが、当時と現在ではインターネットコンテンツの利用実態も変化しており、技術的にも抜け穴が多いため簡単にサイトブロッキングを抜けることができる。

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