米中関係はすでに大きな転機を迎えている

トランプの対中貿易戦争には理由がある

こうした関係を変えるような動きを先に見せたのは習近平主席が率いる中国だったかもしれない。急成長した経済力と軍事力を背景に、習近平氏は「中華民族の偉大なる復興」と「中国の夢」の実現を掲げ、今世紀半ばには「社会主義現代化強国の建設」を目標に掲げた。これはわかりやすく言えば米国に匹敵する大国になることを宣言したものである。同時に習氏は、欧米流の民主主義システムを取り入れることを明確に否定している。つまり、米国流の政治や経済システムに組み込まれるつもりはないのだ。そればかりか今や「一帯一路」戦略の下、近隣諸国にとどまらず、遠く中東や東欧、アフリカ諸国までをも中国の影響下に置こうという戦略を実践している。

中国の勢いは止まらず、米国の影響力は低下

こうなると米国もこれまでの「関与政策」を続けているだけでは済まないと考えざるをえない。経済・貿易政策で今できることは、いささか古めかしい発想だが貿易不均衡の是正という名目で中国からの輸入を減らす、さらに知的財産侵害を理由に米国からの技術移転などに制約を設ける。そして、中国経済の発展に歯止めをかけるくらいのことだろう。こうした政策を日本や欧州など同盟国を巻き込んで実行すれば、冷戦時代の米国がソ連に行った伝統的な「封じ込め政策」に似たものとなる。しかし、トランプ大統領にはまだ、そこまでの明確な戦略はないようだ。

もちろんこんな対応で中国の勢いを止めることはできない。今年、ちょうど40年目を迎える「改革開放政策」で中国は経済大国に成長し、そのGDP(国内総生産)は2030年前後には米国を追い越すともいわれている。対照的に米国の国際社会に対する影響力はますます低下している。これまで中国を見下し余裕を持って対応していたが、そんな時代はとっくに終わった。「関与政策」から新しいスタイルの「封じ込め政策」に米国が対中政策の舵を切らざるをえなくなりつつあることがそれを証明している。

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