中小企業の会社員こそiDeCoに入るとトクだ 社員100人以下の会社なら大きな特典がある

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この中小事業主掛金納付制度の対象となるのは、従業員が100人以下の会社に勤務の厚生年金加入者、かつ会社に企業年金がない人です。企業年金とは、厚生年金基金、確定給付企業年金(DB)または企業型確定拠出年金(DC)を指します。ここに該当する人が同時にiDeCo加入者であれば、会社が掛金を援助します。逆マッチングと呼ばれたりしますが、これが中小事業主掛金納付制度です。

iDeCoに加入済みの人も未加入の人にも恩恵がある

たとえば、以下のような3人の使い方が参考になります。

ある会社で事業主掛金納付を一律3000円拠出するとします。月2万円の掛金拠出をしているAさんは、会社の掛金3000円が上乗せされ、毎月の老後資金積立は2万3000円になります。Aさん自身が拠出する2万円は、これまでどおり所得控除の対象です。事業主掛金は直接AさんのiDeCo口座に入金されますから、ここに社会保険料や所得税の負担が発生することはありません。

iDeCoには毎月の掛金上限額が設定されています。今回の制度の対象となる人であれば月2万3000円(年間27万6000円)です。

このような使い方もあります。Bさんはすでに月の上限いっぱいの掛金をiDeCoで拠出しています。会社が出してくれる掛金は3000円ですから、Bさんはご自身の掛金を3000円減らして合計2万3000円の拠出とするわけです。

仮にBさんが年収500万円で所得税の上限税率10%の人であったとすると、本人の掛金を2万3000円から2万円に減額させると年間3万6000円の所得控除額が減少します。所得税と住民税を合わせると掛金に対する20%がいわゆる節税メリットでしたから、この場合これまでの節税額より7200円節税効果が薄れることになります。しかし、会社から年間3万6000円、おカネをもらったほうがお得です。

では、iDeCoに加入していないCさんはどうでしょうか? 中小事業主掛金納付制度は、iDeCo加入者の支援策なので、加入していないCさんに対し会社は掛金拠出をしません。この機会にCさんがiDeCoに加入をすれば、掛金の拠出を受けることができます。この制度には、企業年金や退職一時金制度が整っている大企業に比べ、企業年金もない、退職一時金もない、賃金も相対的に低い中小企業の従業員にこそ、iDeCoという税制優遇制度を使って、老後のための資産形成をしてほしいという国の想いが込められています。せっかくできたこの制度、ぜひ多くの人に使ってほしいものです。

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