血となり肉となるスキルをつける
仲:キャリアパスはあまり考えないとおっしゃっていましたが、ずっと仕事を続けて行くためには、どんなスキルが武器になりますかね。
閑歳:抽象的だけど「地に足のついたスキル」が武器になるのではないでしょうか。自分だったら出版社で編集業務をしたことで、編集のいろはが身に付いたのはすごくよかった。仲さんもそうじゃないですか?
仲:そうですね。私も営業をやったことで物を売るというスキルは勉強させてもらったと思います。
閑歳:そういうことが一連の流れとして身に付くということは大事ですよね。地味かもしれないけれど、自分の根っことなる一生もののスキルを早いうちに手に入ると、すごく楽だと思います。技術面でいうと言語やフレームワークのはやり廃りはこれからもあるだろうけれど、きちんと情報工学の教育を受けてきた人は、やっぱり飲み込みが早くて臨機応変だなという印象があります。ほとんどの人は大学からやり直すわけにはいきませんが、大きい会社には就職後に一定の教育期間があるので、その点はすごくうらやましいですね。
仲:それは最初からスタートアップだとだめなんでしょうかね。
閑歳:もちろんスタートアップでも、自分で会社を立ち上げたとしても、人に会ったりプロジェクトを通して自分で咀嚼する土台が作れるのであれば、いいのではないでしょうか。大企業にはそうした要素があったり、プログラムとして用意されている場合もあるので、それを活用すればいいと思います。そもそも人に会うということに関しては、ネームバリューがある会社のほうがやりやすいこともありそうです。
迷っているならどっちもやれ
仲:好きなことと得意なこと、どっちをやろうかと迷っている学生がいたら、閑歳さんなら何てアドバイスします?
閑歳:それは、好きで得意なことをやるのがいいでしょ。
仲:ハハハ、でも好きなことと得意なことが違う場合もありますよね。私は好きなほうをやれ、と言ってしまいますけれど。やってみてダメだったら起き上がるっていうのもいいかなって思います。
閑歳:確かに、後で振り返って面白かったな、やりたいことやったなと思える人生がいいですよね。だけど好きで不得意なことってあります?
仲:たとえば歌手になりたい夢もあるけど、実は会計の勉強は得意だったから公認会計士の勉強に集中したほうがいいかとか。
閑歳:じゃあ両方やるといいんじゃないでしょうか。公認会計士の歌手になればいいじゃない(笑)。好きなら頑張れるでしょう。本当に好きなことって、誰に制限されようとされまいと、やり続けるものじゃないですか。寝食を忘れてやり続けたいと思える対象がある、それだけで才能だと思います。絶対に手放しちゃだめです。
逆に言うと、好きと得意、どっちがいいか悩んでいる時点で、本当はそんなに好きなことじゃないのかもしれない。
仲:なるほど。迷っている時点で、好きのレベルが低いと。
閑歳:さっきの歌手が夢という例のつながりで話が少しそれますが、小学校の授業で、子どもたちに将来の夢を語らせるときに、職業を書かせるじゃないですか。私、あれはちょっとおかしいなと思っています。夢って何かの職業に就くこととは限らないですよね。そもそも職業とつながってなくてもよくて、自分が何を達成したいか、他人に何を提供したいか、どんな心の状態でいたいかというのが夢なのではないでしょうか。
ただ普通、そこまで自分が夢中になれる夢なのか、好きなことかどうかは、初めからわからないですものね。好きなことと得意なこと、どちらもやってみて、先にあきらめたほうがきっと大事じゃないことなので、まずは両方やるのがいいと思います。
仲:今日の格言ですね。「迷っているならどっちもやれ!」。ありがとうございました。
マネー×モバイルというのは、今、最もアツい領域のひとつですし、今後の展開も楽しみです!
(構成:田中攝 撮影:今井 康一)
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