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ユーザー中心に転換
仲:ユーザーからの声で、何か変わったことは具体的にありますか。
杉江:ホント全部。全部が全部変わりました。スペック的にも精神的にも、やっぱり「キーとなる言葉」を言ってくれるんです。たとえば「私はフェラーリなのにこの子(電動車いす)はカローラのままなのよ」とか。これはつまりイノベーションに対する怒りですよね。ずっと車いすは変わらない!って。あとはちょっと抽象的な話をしていいですか。
仲:お願いします(笑)。
杉江:あるときWHILL のハンドルの中に、iPhoneを収納させた絵をみせてみたんですよ。車いすにiPhoneがくっつくとGPSと連動していろいろ操作ができるみたいな感じで。そうしたらiPhoneがあることに「これはいい!」って反応が来るんですよ。聞いてみると便利だということよりも、なんか革新的っぽいではないかという反応なんですね。それは前述したように、車いすや電動車いすがあまり変わらないということに対する不満で。なんか先進的っぽいのがうれしいんですよ。車いすは歴史的に見たら、もちろん細部の機能は向上していますが、根本的な形はほとんど変わっていません。80年くらい前のと今の車いすはほとんど一緒。
仲:その足の悪い方たちがイノベーションを求めているというのは、自分たちの発想からは出てこないものだったのですか。
杉江:そうだと思ってやっていましたが、確信的に「そうだよね!」と思わせてくれたのは、やはりユーザーの声でした。
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