国務長官は閣僚の中で最も栄えあるポジションだ。CIA長官を短期間務めただけのポンペオ氏が国務長官になるというのは、特進的な昇格といえる。CIA長官に起用される前、ポンペオ氏はカンザス州選出の共和党下院議員として6年間を過ごした。
米国人の多くが同氏の名前を初めて聞いたのは2015年。米国大使が悲劇的な死を遂げたリビア・ベンガジの米領事館襲撃事件(2012年)で、ヒラリー・クリントン国務長官(事件当時)を吊るし上げたときだ。
米朝首脳会談に備える意思はない
一方のボルトン氏はレーガン、ブッシュ(父子の両方)政権に仕えた政府高官だ。トランプ政権は伝統的な政府組織に「闇の国家」のレッテルを張り、官僚を執拗に非難しているが、現政権並みの官僚たたきで有名になったのがボルトン氏だ。同氏は外交タカ派を自認、自国の利益を他国に押し付ける単独行動主義を信奉している。
ボルトン氏とポンペオ氏の超タカ派路線が行動にどう表れるかを知るために長く待つ必要はない。トランプ氏と金正恩朝鮮労働党委員長の直接会談が迫っているからだ。金氏の首脳会談の呼びかけに乗るというトランプ氏の賭けが失敗すれば、外交カードは費え、軍事的解決しか手はなくなる。
ボルトン氏とポンペオ氏は、米朝首脳会談でトランプ氏が激怒して席を立つことが最善と考えているかもしれない。首脳会談を成功させるには周到な準備が必要だが、事前に韓国首脳や北朝鮮高官と会って米朝首脳会談に備える意思が、両氏にあるとは思えない。
大統領というものは時として、帽子からウサギを取り出すかのような思いも寄らないマジックを見せるもの。だが、手品のような問題解決は、外交官が小道具を準備した場合にのみ可能となる。ボルトン氏とポンペオ氏が小道具を用意できるかどうかは、まったくもって疑わしい。
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