違法風俗店街が変身!「黄金町」高架下の挑戦

「ちょんの間」転じてアーティストの街に

さらに地域にとって大きなことは、YADOKARIという「専業」の事業者が入ってくることだ。「これまでNPOがまちのなんでも屋となり試行錯誤しながら幅広いことの面倒をみていたが、今回、われわれの意思とは別に事業目的がある法人が入ってくる。まちづくり開始後、新しい法人が入ってくるのは初めてのこと。よって今回の事業がまちづくりの新しいステップになり、とても大きなこととなる。また、新しい人の流れも生まれる可能性を持っている。そのため、今回のプロジェクトには大きな期待を寄せている」(山野事務局長)と、地元から寄せられる期待も大きい。

アーティストという「人」の重要性

黄金町で行われている「アート」によるまちづくりは10年以上の長きにわたって行われている。それでもまだ、まちづくりは道半ばだ。その中で山野事務局長が気がついたのは「アート作品」ではなく「アーティスト」という存在の重要性なのだという。

黄金町の高架下では小さいイベント・ツアーが頻繁に行われ、違法風俗店が立ち並んでいた場所とは思えないほど開放的な空気になりつつある(筆者撮影)

「アーティストというのは地域に住むさまざまな人々をつなぐ。たとえばこのまちづくりにも賛成、無関心、反対とさまざまな人々がいる。その人たちと同じスタンス、フラットな立ち位置と付き合いができる。アーティストにはまちづくりのミッションはないからこそ、だからこそできることだ。地域の人々が受け入れるのはアート作品ではなく人間だ。そして間接的にわれわれがやっていることを示してくれてもいる。それはわれわれのように立場がある人間にはできないことだ」

山野事務局長は、黄金町のアートによるまちづくりが本格的に始まってからずっと福岡に奥様を残して黄金町を拠点に活動を続け、今も福岡に帰るのは年に2~3回程度だという。そこまでして黄金町で活動している原動力と今後について尋ねてみると、次のような答えが返ってきた。「自分の中のテーマがあって、まだそこまでたどり着けていない。テーマが自分の腑に落ち、そしてほかのところにも応用できることを伝えられるまで黄金町にいるつもりだ。でも、私の代ではそこまでたどり着かないと思っている。だからテーマを投げ渡して伝えたいと思っている」。

黄金町の高架下を活用したアートによる活性化はまだ道半ばだ。そして今回のタイニーハウスホステル事業により、また新しい人がやってくる。地域にどんなインパクトが起き、アートによるまちづくりからまちの姿がさらにどう変化していくのだろうか。

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