開幕6連勝!辻監督語る西武「復活」への改革 Bクラスから昨季2位、今季優勝も夢ではない

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「もちろん、巨人を倒してこそという気持ちは誰しもが持っていたと思いますよ。でも、当時の西武の強さの理由はそれではなかったような気がします。僕は西武に入って試合に出られるようになって、レギュラーになっても安心したことは一度もなかった。毎年のように次から次へとすごい選手が入ってくるわけですよ。

当時の西武は、チームの中での競争がとにかくすごかった。その競争が激しければ激しいほどチームは強くなるのです。ほかのチームとの勝ち負け云々よりも、まず試合に出るのが大変、レギュラーをとるのが大変。それが、強いチームの条件だと思いますよ」

現役時代には多くの勝利を経験した辻だが、コーチとしては負けの辛さも味わっている。横浜ベイスターズ(当時)でコーチを務めた際は最下位が続き、中日ドラゴンズでも3年連続Bクラス(シーズン順位の下位)だったことがある。常勝軍団となかなか勝てないチーム。現役時代とコーチ時代の経験から、その差も見えてくる。

Bクラスで低迷したライオンズに欠けていたことを語る辻監督(撮影:風間仁一郎)

「やはり戦力でしょう。まったく同じ戦力でよーいドンで始めるなら監督の手腕によるものだけど、実際は手腕なんて二の次。

森さんは西武の監督時代、1回から送りバントをさせて1点をとりにいく野球をしていましたけど、それは先ほど言ったように1点を守り抜けるピッチャー陣がいたから。

あれだけ西武を日本一に導いた森さんでも、横浜では勝てなかった。だから、まずは戦力なんです。ただ、客観的に見ていて、『この戦力でよくAクラスに入ったな』って思うケースもあるし、『いい戦力があるのになぜ勝てないんだろう、もっと変わるんじゃないか』っていうケースもある。2016年までの西武が、まさに後者でしたね」

我慢の起用が組織を変える

2014年から3年連続Bクラスだった西武。当時中日のコーチだった辻は交流戦で西武ナインをその目で見て、「技術のある人材がこれだけいて、なぜ勝てないのだろう」と思ったそうだ。2017年に監督に就任した際、チームを立て直すための課題として失策数101(2016年シーズン)の話があがった。

「一概にエラーをしたから勝てなかったとは言えないと思っていたんですが、よく調べてみると、打ち取ったのに暴投してゲッツーにできなかったり、バント処理の送球が暴投になったりと、エラーの内容が悪かった。だから、守備に対する意識を高めることから始めなくては、と。まず、二遊間は最も大事なところなのに、あれだけショートがころころ変わっていたらエラーも増えますよね。

二遊間だけではないですけど、どこに投げれば次のプレーにつながるか、どんなトスをすれば相手が捕りやすいか……結局、守備って味方に対する思いやりなんですよ。特に二遊間は相手の気持ちを思い合うことが大事。そういう関係性を築くには、ある程度レギュラーとして固定できる人材が必要なんです」

昨年は源田壮亮が加わり、二遊間が固定できたことがチームの飛躍に大きくつながった。源田は入団前から期待されていた守備だけでなく、バッティングでもシーズン155安打、打率2割7分の成績を残し、新人王に輝いた。

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