開幕6連勝!辻監督語る西武「復活」への改革 Bクラスから昨季2位、今季優勝も夢ではない

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選手たちのバッティング練習を1人見つめる辻監督(撮影:風間仁一郎)

「この先のチームのことを考えたら、とにかくショートを固定しないといけないわけだから、打撃に関しては目をつぶって我慢して使おうと腹を括っていました。

2割5分くらい打ってくれて、ルーキーだから100試合くらい出てくれればいいかなぁ、くらいに構えていましたね。でも、実はキャンプで見たときにバッティングもよくなるんじゃないかと感じていたんですよ。引っ張れるから、そういう方向性で行ければいいなと」

昨年に関しては、「タイミングがよかった」と辻は繰り返す。3年連続でBクラスのチームが、仮にまたBクラスになったとしても、そこまで大きなバッシングは受けない。ただ、AクラスからBクラスに降格したら批判の的になる。だからこそ、結果にこだわらず我慢して選手を使えるのは今しかないと思ったのだ。すべては、チームを変えるためだ。

「源田ともう一人、どんな結果でも我慢して使わなきゃと思ったのは外崎修汰です。ほかの外野手が不調で、多少ミスがあっても目をつぶろうと思い切って彼を起用しました。思いのほか守備は順応してくれましたけど、打撃は低迷。でも、あの走塁技術は大きな戦力になると思って我慢して使い続けました」

その結果、外崎は135試合に出場。2016年シーズンにはわずか9本だった安打が、昨シーズンは113本まで伸びた。侍ジャパンのメンバーにも招集され、昨年11月のアジアプロ野球チャンピオンシップではMVPを獲得。監督の我慢が、1人の選手を大きく成長させた。

「とにかくチームを変えなくてはいけない。チームの意識を変えなくてはいけない。3年間ずっと負けていると、開幕で負け越しただけで『今年もダメか』、先取点をとられただけで『今日もダメか』と思ってしまう。負け慣れだけはしてはいけない。最後に逆転してやるんだという気持ちを持ち続けないといけない。昨シーズンの2位という結果からも、選手にはそういう思いが芽生えていると感じます」

1点にこだわる姿勢が、確実な強さにつながる

今シーズン、松井稼頭央が選手兼任テクニカルコーチとして15年ぶりにチームに戻ってきた。辻とは現役時代に2年だけチームメイトだったが、ともにプレーする機会はなかった。

「栗山(巧)や中村(剛也)などのベテランがいて、中堅がいて、若手がいて、すでにある程度バランスがとれていたチームに超ベテランの稼頭央が加わった。メジャーリーグや日本の他球団も経験していますから、ほかの選手にとっていろんな話ができる頼もしい存在でしょう。ただ、コーチである前に選手であることは、いちばんに考えてやらないといけないと思っています。彼を必要とするときは必ずありますから」

バッティング練習に取り組んでいた松井稼頭央(撮影:風間仁一郎)

松井稼頭央の加入という心強いニュースがあった一方で、強力な戦力だった牧田和久がメジャーリーグに、野上亮磨も巨人に移籍した。ピッチャー陣に対する不安も叫ばれている。

「たしかに、投手力にしんどい部分があるとも言われていますけど、昨年の外崎のように代わりの選手が活躍する可能性もありますから。とにかく選手たちには、昨シーズンあそこまでやれたことに自信を持ってほしい。そして、我々はあくまでチャレンジャーなのだから、上を引きずり下ろすんだという強い気持ちを持ってほしい。

ピッチャーには、1点とられるのは仕方ない、では次の1点をどう抑えるか。バッターには、1点とったらさらに次の1点をどうとるか。とにかく1点にこだわり、最後まであきらめない野球をすること。それしかありません」

強さを取り戻すために必要なのは、かつての黄金時代のような1点を守り抜く野球、1点をとりにいく野球。当時のようなチーム内での熾烈なポジション争いも再現したいところだ。

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