高嶋ちさ子と草彅剛のCM出演がウケた背景 タイミングとキャスティングがヒットのカギ

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1994年には『タカラcanチューハイ』のCMで宮沢りえが発したセリフ「すったもんだがありました」がその年の流行語になった。婚約解消という深刻な事態、何より彼女がいちばん傷ついたはずの騒動を逆手にとり、軽妙に語るフレーズが大ヒットしたのだ。

同商品のCMはその後も注目を浴び、パワフルなステージママがいることでも有名だった彼女が「私がここまでこれたのも、み〜んなママのおかげよ」とごまをすった作品は、1995年3月度にCM好感度でトップに上り詰めた。

ネガティブなエピソードを逆手にとったキャスティングは、それだけで世の中の注目を集める。近年では、『カップヌードル』の「OBAKA’s UNIVERSITY」が記憶に新しい。矢口真里を「危機管理の権威」として“心理学部 准教授”役に、「才能はシェアする時代へ」として新垣隆を“芸術協力学部 教授”役にあてるなど、かつての騒動を連想させる設定が大きな話題となった。

本来の意図は「時代を変えるには周りにクレイジーだと思われても自分を貫くようなパワーが必要」という若者へ向けたエールであり、そのためには唯一無二の配役ではあったものの、騒動の内容に意識が集まり結果的にCMは放送取り止め、日清食品は謝罪文を公表するに至った。

国民的関心を下地に描き出された草彅剛の今 

リアリティのある設定は、多くの注目を集める分、視聴者の倫理観・価値観と少しでもずれると批判される可能性もはらんでいる。今回は共感を得た事例としてサントリー食品インターナショナル『伊右衛門』のCMに注目してみたい。

CMは、“こころのざわつき”を抱えたまま江戸時代にタイムスリップした草彅剛が伊右衛門夫妻(本木雅弘・宮沢りえ)の営む茶屋を訪れ、新しくなった商品を飲んで心を軽くするストーリー。

2016年末にSMAPが解散して以降、草彅が出演したCMはアサヒグループ食品『1本満足バー』のみで、今年3月に入ってようやく本作と、瞬間オフライン翻訳機『イリー』のCMが始まったところだ。

サントリー緑茶 伊右衛門CM『こころの茶屋 ティザー/歌』篇 
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