高嶋ちさ子と草彅剛のCM出演がウケた背景 タイミングとキャスティングがヒットのカギ

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SMAP解散までのいきさつは日本国民の関心事となり、一挙手一投足が注目の的となった。知名度も人気も圧倒的な彼らだが、タレント人気のバロメーターのひとつとも言えるCMではなかなか元気な姿を見ることができない。CMのテーマさながらに草彅自身も、日本中の心もざわついていた時期は間違いなくあっただろう。

そこに今回のCMでの「大変ですよね。生きるって。傷つけたり傷ついたり」という吐露したかのようなセリフである。新CM発表会では「新しいスタートを切ったので、不安で心がざわついていましたが、そういうのも楽しんで新しい気持ちになれました」「今回のエピソードが僕の人生に重なっているCMになったと思います」と明かした草彅。

実際、CMでの草彅の言葉に「セリフなのかアドリブなのかわからない感じ、リアルでいい」と感じるモニターの声もあった。

草彅の動向を見守ってきた視聴者から多くの共感

ただ、それ以上に「草彅さんがお茶を飲んで一息ついている姿にホッとします」「香取さん、稲垣さんに続いて草彅さんもサントリーのCMに出てうれしかった」と安堵感をあらわにしたコメントが目立った。草彅の現在地を示し、新たな門出を祝福するような今回のキャスティングとストーリーは、動向を見守ってきた人々の気持ちに寄り添った内容で、多くの共感を得ることに成功した。

2月には稲垣吾郎と香取慎吾がサントリービール『オールフリー』のCMで「生きてるっ!」と意気揚々と叫び、今回は伊右衛門夫妻との交流によって草彅が新たな決意で未来を向いた。 

CMにおいて「誰に、いつ、何を語らせるか」はメッセージの伝達深度を左右する大切な要素である反面、その判断は非常に難しい。今回取り上げた『SoftBank』の高嶋ちさ子、『伊右衛門』の草彅剛の起用は、消費者を包んでいるムードを的確にとらえ、このうえないタイミングとキャスティングで発信された好事例と言えよう。

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